WBC運営会社は選手会無視!あくまで「NPBと合意」

[ 2012年7月22日 06:00 ]

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を主催する運営会社WBCIが20日(日本時間21日)、日本はあくまで「参加に合意」との認識を強調した。労組・日本プロ野球選手会が不参加を表明したことを受けて声明を発表し、日本野球機構(NPB)とは既に合意していると主張。NPBと選手会の問題は「内輪」の問題と位置づけた。9月から予選ラウンドもスタートするだけに、大会運営に影響する日本の不参加は受け入れられないとの意向だ。

 日本プロ野球選手会によるWBC不参加表明を受け、WBCIは声明で「WBCにチームを送ることを決めている日本野球機構(NPB)と(日本参加で)合意している」と強調。参加表明の権限はあくまでNPBにあるとし、WBCIの委員会でも日本参加の意思確認が行われているとの態度を鮮明にした。選手会の意向は「無視」し、さらに「13年WBCへの日本選手の参加は、NPBと日本プロ野球選手会の問題」と、日本側が解決すべきとの認識を示した。

 日本が登場するのは来年3月の1次ラウンドからだが、予選ラウンドは今年9月から開始。既に日本の参加前提で、1次ラウンドと2次ラウンドの1つの組を日本で開催する方針を固めている。さらにスポンサーなどビジネス面の交渉も進んでおり、2連覇中の日本の不参加を受け入れることは事実上不可能な状況といえる。NPBと選手会の問題については「静観」の方針だが、今後もWBCI側は日本の参加を前提に準備を進め「しかるべき相手と連絡を取り合いながら、NPB、日本プロ野球選手会とともに事に当たる」とした。

 WBCIは大会に関わる日本代表のスポンサー権などを譲渡した場合「参加は4カ国程度にとどまる」と言及。出場困難な国の招待や、大リーグの選手が母国でプレーする際の保険など巨額なコストがかかると日本側にも理解を求め、これまでも再三説明してきた。WBC大会に直接リンクしない「侍ジャパン」の活動による収益は全て日本に帰属する点は認めてきたが、選手会の要望はWBCの運営自体に関わるとして受け入れられないとの考えだ。

 WBCIは「第1、第2回大会優勝者の日本が、ファンが誇りにするチャンピオンにふさわしいチームをまた送ってくれることを期待している」と声明を結んだ。

 ▽WBCI 「World Baseball Classic Inc」の略で「INC(インク)」は法人の意。WBCの大会運営、企画を一手に担う。大リーグ機構の国際部門内の組織で、05年に大リーグ機構と大リーグ選手会の共同で設立された。本部はニューヨーク。WBCの大会理念は「野球の普及と国際化」で、09年大会の収益から欧州やオーストラリアなど世界の野球に1500万ドル(約13億3300万円=当時)を還元できたとしている。

 【過去2度のWBC】

 ☆06年 日本は東京で行われた第1ラウンドで、韓国に2―3で敗れて2位で第2ラウンドへ。4チームで争った第2ラウンドは1位韓国。アメリカがメキシコに敗れる波乱があり、日本は米国、メキシコと1勝2敗で並んだが、失点率で準決勝に進出した。準決勝はそれまで2敗していた韓国に6―0で快勝。決勝ではキューバを10―6で下して初代王者に輝いた。

 ☆09年 東京ラウンドでは韓国と1勝1敗。2勝1敗の2位で米国ラウンドへ。トーナメントで行われた第2ラウンドは1回戦でキューバに6―0で快勝も、2回戦で韓国に1―4で敗退。敗者復活戦を勝ち抜き再び韓国と対戦、6―2で破って準決勝進出を決めた。準決勝は米国に9―4で快勝。5度目の対戦となった韓国との決勝戦は、イチローの決勝打で連覇を成し遂げた。

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2012年7月22日のニュース