武田連勝!高卒ルーキー“九州のダル”本家に並んだ

[ 2012年7月15日 06:00 ]

<ソ・ロ>2勝目を挙げたソフトバンク・武田(左)は勝利打点の本多とお立ち台で拳を突き上げる

パ・リーグ ソフトバンク3-0ロッテ

(7月14日 ヤフーD)
 趣味の将棋のように何手も先の盤面を予測し、相手の変化に対応する。6回を4安打無失点。ソフトバンク・武田が試合を振り返る姿は、まるでプロ棋士の感想戦のようだった。

 「序盤はミスしたけど相手の攻め手を見つつ、うまく守ることができた。そのうち持ち駒が増え、利用することで勝てた」。ミスをしたのは立ち上がり。初の本拠地マウンド。3万6241人の大観衆に「少しだけ力が入った」という。初回1死、根元には制球が定まらず四球を与え、続く井口には左前打された。プロ入り初の得点圏のピンチで「研究」が生きる。デビュー戦となった7日日本ハム戦(札幌ドーム)は低めのボールゾーンに落とす縦のスライダーを勝負球に使った。だが初対戦のロッテ側もそのデータは入手済み。「相手は配球を考え、低めは捨ててくる」と裏を読んだ。ストライクゾーンへの120キロ台のカーブを選択し、2死一、二塁で角中から見逃し三振。変更した「勝負手」、球速を落とした球種で4つの見逃し三振を奪った。

 「持ち駒」は試合で打者と対戦し、感じるものだった。「打たれたのは8割、直球。外の球に飛びついてくる」。3回2死、根元を空振り三振に仕留めた球は最速150キロを計測。直球の伸びは決して悪くはなかった。だが、狙われていることを察知すると、即座に変化球主体に切り替える柔軟性を見せた。

 デビューから12イニング連続無失点とし、高卒ルーキーの初登板から2戦2勝は球団初の快挙。65年のドラフト制後は日本ハム時代のダルビッシュ(レンジャーズ)らに並ぶ史上6人目の偉業だ。6月26日のウエスタン・リーグ中日戦で本拠地のマウンドを経験。ライトの影響で「暗くてサインが見づらい」と裸眼で1・5ある両目にコンタクトレンズも用意する周到ぶりは新人離れしている。

 秋山監督は「結果を残しているからチャンスはある」と球宴明けのローテーション入りを確約。「九州のダル」と呼ばれる19歳は「自分もダルビッシュさんのように一目置かれる存在になりたい」と屈託のない笑みで、高い目標を口にした。

 ≪2試合とも無失点は初≫武田(ソ)が7日の日本ハム戦に続きプロ2試合目も白星を挙げた。ドラフト制以降、高卒新人の初登板から2戦2勝は、08年唐川(ロ)以来6人目。うち、2試合とも無失点(計12イニング)は武田が初めてだ。ドラフト制以降、高卒新人のデビューからの連続イニング無失点は87年近藤(中)の15イニングとなっており、次回登板に注目だ。また、高卒に限らず、チーム新人の初登板から2戦2勝は、08年久米(明大=現巨人)以来。いずれも先発となると、南海時代の58年に杉浦忠(立大)がマークして以来54年ぶりとなった。

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2012年7月15日のニュース