NTT東日本 名采配でつながった!村上V打&岩佐抑えた

[ 2012年7月15日 06:00 ]

<JR東海・NTT東日本>初回1死、先制本塁打を放った岩本を迎えるNTT東日本ナイン

第83回都市対抗野球1回戦 NTT東日本2―1JR東海

(7月14日 東京D)
 1回戦3試合が行われた。前回準優勝のNTT東日本(東京都)が2―1でJR東海(名古屋市)を下した。試合を決めたのは、鷺宮製作所からの補強選手・村上純平外野手(24)の決勝打。4番に指名した都市対抗3度の優勝経験を持つ垣野多鶴(たづる)監督(61)の采配が的中した。また、九州三菱自動車(福岡市)、JFE西日本(福山市・倉敷市)も2回戦進出。15日も1回戦3試合が行われる。

 名将の読みがさえた。1―1で迎えた8回。無死から走者が出ると、垣野監督は1番・目黒に犠打を指示。バントをしないことで定評がある指揮官の執念で、チャンスを2死一、二塁と広げた。ここで4番・村上が左前適時打。4番に回せば何かが起こると信じた末のバントだった。

 「あそこで打つのが4番。いい仕事をしてくれた」。予選では準決勝の鷺宮製作所戦で16安打10得点するなど強打を誇る打線だが、あえて補強選手を主砲に据えた。その理由は「(村上が)4番にふさわしかったから」と明快だった。

 投手起用もさえた。4回まで無安打投球の先発・黒田が、5回に1失点すると迷わずスイッチ。「勝ち越されるのが嫌だった」と1点勝負を覚悟した采配。2番手で登板した東京ガスからの補強選手・岩佐は4回1/3を2安打無失点で切り抜け、期待に応えた。

 三菱ふそう川崎の監督を19年間務め、都市対抗を3度制覇。09年1月にNTT東日本の監督に就任し昨年は準優勝に導いたが「目標は優勝だけ」と満足はしていない。チームに合流した村上は垣野イズムを痛感したという。「選手は優勝を目指すのではなく、優勝するという意識を持っている」。

 その打撃指導法はシンプルだが徹底している。ノーステップでタイミングを取り、最短でバットを出し、振り切る。この打法で強力打線を作り上げた。短い期間で指揮官の信頼を勝ち取った村上も「自分の中で砕いて取り入れ、レベルアップしたい。(自分の)チームにも伝えたい」と心酔する。

 名将は言った。「まだみんな振りが鈍い。この1週間で上げていきたい」。大舞台に立っても立ち止まらない。優勝の瞬間まで成長を求める。それが強さの源だ。

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2012年7月15日のニュース