武隈 8回1死まで無安打!2年ぶり先発で今季初勝利

[ 2012年7月13日 06:00 ]

<西・ソ>力投する西武ク先発の武隈

パ・リーグ 西武2-0ソフトバンク

(7月12日 西武D)
 シャイな救世主は両足をひきずりながら、報道陣から逃げようと駐車場を小走りで駆けていた。8回1死まで無安打の快投。あと5人で快挙を逃したが、西武・武隈に悔しそうな表情はない。それもそのはず。2年ぶり勝利で通算2勝目。本音が出た。

 「無安打無失点なんてやらなくて良かったです。杉内さん、マエケン(前田健)さん。武隈…。やらなくて良かった」

 10年7月4日のロッテ戦(千葉マリン)以来の先発。首脳陣に告げられたのは前日だ。岸、西口、石井と先発陣が次々に戦線離脱。首脳陣は2軍から昇格を検討していたが「上げる投手もいない」と方針転換した。今季は救援で防御率7・94。期待は高くなかった。

 「制球は最後まで良くなかった」と言うが、最速139キロの直球で果敢に内角を突き、スライダーとチェンジアップが効いた。5回には左足に続き、右足もつった。しかし「代えないでください」と杉本投手コーチに直訴。「気持ちです。僕なりに強気で投げた」。右足の踏み込みが利かなくなった分は歩幅を狭めて投げた。130キロ台前半まで球速が落ちた8回1死、長谷川の詰まった打球が左前に落ちた。再び杉本コーチがマウンドに来たが、ここでも続投を志願。「以前なら“もう投げられません”と言っていた」。次打者を抑え、2番手に託した。

 期する思いがあった。「これで(今季昇格は)3回目。結果を出せなかったら今年はダメだ」。質の高いチェンジアップを持ちながら伸び悩んだ原因は精神面の弱さ。6月3日DeNA戦(西武ドーム)では救援で1死も取れず、渡辺監督に「お嬢さんみたいにうなだれるんじゃない」と雷を落とされたが、崖っ縁の状況で克服した。その指揮官も「気持ちが入っていた」と目を細めた。

 先発では初勝利。武隈は「父(幸雄さん)が2日前(10日)に誕生日だったので贈ります」と声を弾ませた。「マグレだと思われたくないので、次に投げるときもきょうのような投球をしたい」。弱気の虫と決別したヒーローの目は早くも未来を見据えていた。

 ▼西武・炭谷(武隈は)全部良かった。構えたところに制球よく来ていた。

 ▼西武・杉本投手コーチ(武隈は)想像もしていなかっ た。直球に切れがあったね。今まではデレッとしていたけどキリッとしていた。

 ◆武隈祥太(たけくま・しょうた) 

 ☆生まれ、サイズ 1989年(平元)11月24日、北海道旭川市生まれの22歳。1メートル80、79キロ。左投げ左打ち。

 ☆球歴 東神楽東聖小5年時に野球を始める。中学時は旭川北稜シニアで全国大会に出場。旭川工3年時は夏の旭川地区予選1回戦で16奪三振完封。地区代表決定戦では旭川龍谷に2―3で敗れ、甲子園出場はなし。

 ☆憧れの選手 高校の先輩にあたる、オリックス・星野伸之2軍投手コーチ。「ああいう投手になりたい」と目標に掲げる。

 ☆趣味 洗車。西武第2球場では愛車をピカピカにすることが日課だった。

 ☆特技 パソコンに詳しく、西武ナインのiPodに音楽をダウンロードする役回りもこなす。

 ☆魔球? プロ入り後に磨きをかけたチェンジアップは先輩投手から「球が変な感じの軌道で、打者までなかなかいかない」と感心される。

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