黒田8勝目「日本人への見方が少しでも変われば」

[ 2012年7月2日 06:00 ]

<ヤンキース・ホワイトソックス>7回を11奪三振の好投で8勝目を挙げたヤンキース・黒田。ファンも毎回拍手で迎えた

ア・リーグ ヤンキース4―0ホワイトソックス

(6月30日 ニューヨーク)
 これぞエースの投球だ。ヤンキース・黒田博樹投手(37)が30日(日本時間1日)、ホワイトソックス戦で8勝目を挙げた。7回を3安打無失点に抑え、自己最多タイの11奪三振をマーク。先発のCC・サバシア(31)アンディ・ペティット(40)両投手が故障のため離脱する中、まさにエース格の快投を演じた。日米通算2500投球回にも到達した背番号18。頼れる大黒柱としてヤ軍を支える。

 面白いように、相手のバットが空を切った。4回だ。リーグ3位、24本塁打の左打者ダンからフォークで空振り三振を奪うと、コネルコ、リオスの右打者はスライダーで空振り三振だ。主軸を3連続K斬り。気温34度の暑さ、強い日差しも吹き飛ばす熱投だった。

 「ここでズルズルいくのは良くない。何とか勝ちたかった」。サバシアが左股関節痛、ペティットが左足腓(ひ)骨骨折で離脱。さらに前日まで2連敗というチームの窮地を右腕が救った。

 初回2死一、三塁で、リオスを外角スライダーで空振り三振。ここで「もう一度アグレッシブにいこうと思った」と自らに課した。右打者の内角にシンカー(ツーシーム)、外角にスライダーという自身のスタイルを前面に出した。左打者を9人並べた前回25日のインディアンス戦と対照的に、相手は先発7人が右。懐を大胆にえぐり、外角のボール球になる変化球で仕留めた。

 「スライダーが切れていた。右打者を踏み込ませないよう、内角に飛び込んでいけたのが一番大きかった」。6回1死で日米通算2500投球回に到達。年齢を重ね、円熟味を増している。次回登板の6日(日本時間7日)のレッドソックス戦では02年の吉井(エクスポズ)の37歳144日を上回り、37歳147日で日本人最年長先発となる。米メディアで日本人投手の「3年限界説」が論じられることもある中、「記録として残って、日本人への見方が少しでも変われば」。一試合一試合の積み重ね。「必死に投げている結果」という地道な努力で、ここ7試合は5勝1敗で防御率1・65。白星も先行した。

 ジョー・ジラルディ監督も「安定感が増した。これが彼本来の投球」。チームの苦境でこそ真価を発揮するのがエース。黒田にはその資格がある。

 ≪野茂に続くか?日米で1000投球回≫日本球界で通算2500投球回を達成した投手は44人。日本投手の日米通算で最多は野茂英雄(ドジャースなど)の3027回2/3で、石井一久(西武)の2817回がこれに続く。なお、日米両方で1000投球回に達した投手は野茂しかおらず、黒田の達成(現在、米通算801回1/3)にも期待がかかる。

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