黒田 高速フォークさえた!オール左打線苦にせず7勝目

[ 2012年6月27日 06:00 ]

<ヤンキース・インディアンス>8回途中まで好投し、捕手スチュワート(左)とタッチして降板するヤンキース・黒田

ア・リーグ ヤンキース7―1インディアンス

(6月25日 ニューヨーク)
 ヤンキースの黒田博樹投手(37)が25日(日本時間26日)、インディアンス戦で7勝目(7敗)を挙げた。左打者を9人並べた相手に7回0/3を投げ、5安打1失点の好投。高速フォークがさえ、7三振を奪った。シーズン序盤は不安定な投球が続いたが、最近6試合は4勝1敗、防御率1・93。新加入の背番号18が、首位を走るヤ軍の原動力となっている。

 初回、2番カブレラに投じたこの日の8球目。黒田が「スプリット」と呼ぶ138キロの高速フォークで空振り三振を奪った。すぐに確信した。「空振りの仕方がいつもと違う。使える」。8回途中に降板するまで全て空振りで7奪三振。うち6個はフォークで奪った。

 イ軍は両打ち2人を含め先発9人全員が左打者。5月6日にレンジャーズのダルビッシュも同様のラインアップでメジャー初黒星を喫した。「今まで野球をしてきた中で初めてというか(DH制の)ア・リーグならでは。ここまで徹底されることはなかった」。今季は対左に試合前の時点で打率・285(対右は・220)と苦戦。さらに広島でもドジャースでもDH制がなく「オール左」は初体験だった。それでも広島時代からの決め球で米国では滑るメジャー球のため当日の感触に左右されるフォークが見事にはまった。直球の軌道から鋭く落ちる球種なら左打者にも有効だった。

 フォークが決まると、他の球も生きる。無死から2四球を与えた4回。2死一、二塁から対したコッチマンに内角のカットボールを見せた後、外角直球で二飛に仕留めた。速いフォークが頭にある分、対応が遅れる。「余裕がある中でカッターを使えた。バリエーションが増え、相手にいくデータも変わる」と今後の対戦も見据えた。

 37歳になっても新たなものを吸収する姿勢が黒田を支える。ドジャース時代には同僚だった355勝右腕グレグ・マダックス(現レンジャーズGM特別補佐)らに直接指導を仰いだ右腕の現在の「先生」は同僚のペティット。40歳左腕は黒田の投球を「3、4種類の異なる球種をきちんと制球できるし、球のスピードが試合の終盤になっても落ちない。かなり勝つだろう」と評価した。

 今季の登板15試合で、味方が得点した直後の失点は1度だけ。ジョー・ジラルディ監督は「得点後に点をやると相手に希望を与える。彼はその重要性を分かっている」と称えた。辛口のヤ軍ファンも、降板時にスタンディング・オベーション。黒田の存在感は、日増しに高まっている。

 ≪奪三振日本人2位≫黒田がこの日7奪三振を記録し、メジャー通算592奪三振。大家友和(レッドソックスなど)の590を上回り、日本投手歴代2位となった。1位は野茂英雄(ドジャースなど)の1918個で、4位は松坂大輔(レッドソックス)の583個。

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2012年6月27日のニュース