松坂 復帰3戦目も涙のKO「情けない、悔しい」

[ 2012年6月23日 06:00 ]

<レッドソックス・マーリンズ>6回1死、スタントンに勝ち越し本塁打を浴びたところで交代を告げられ悔しそうに降板する松坂大輔

インターリーグ レッドソックス6―5マーリンズ

(6月21日 ボストン)
 涙の降板――。レッドソックスの松坂大輔投手(31)が21日(日本時間22日)、マーリンズ戦で5回1/3を4安打4失点。右肘手術から復帰3戦目でも白星はならなかった。手術後初めて100球を超えたが、立ち上がりの不安定さは払しょくできず、同点の6回にソロ本塁打を被弾。降板後には悔しさから涙を浮かべた。4度目の正直となる次回26日(同27日)のブルージェイズ戦で、今度こそ復帰後初勝利と米通算50勝を目指す。
【松坂大輔成績】

 松坂は両膝に手を置き、下を向いたまま動けなかった。味方が同点に追いついた直後の6回1死。スタントンに勝ち越し左越えソロを許した。そして降板。表情を悟られまいと帽子を深くかぶり直した。自らのふがいなさに、松坂は両目いっぱいに涙をためていた。

 「本当に自分が情けない。悔しい、という言葉しか出てこない。自分が置かれている状況を考えると、なかなか忘れることのできない一球。自分のやっていることにストレスを感じている」

 右肘手術から復帰後初めて100球超えとなる101球目を、完璧に捉えられた。いまだ手探りの状態が続き、現在投げている直球系以外の変化球はスライダーとチェンジアップだけ。スタントンには通常より球速を落とした78マイル(約125キロ)のスライダーで勝負したが、狙い打たれた。「タイミングさえ崩すことができれば大丈夫という考えもあったが…」と唇をかんだ。

 初回に3安打で3失点。3盗塁も許し、制球難もあって1イニングで33球を要した。3戦連続で2回までに失点。この日は2回以降は打者13人を連続で打ち取るなど立ち直ったが、マウンドに上がらなければ調子が分からない不安定さは相変わらずだ。「自分の状態が把握できていない。投げながら、分からないと思う時もある」。本来の投球感覚を取り戻せず、消えないもどかしさ。「怪物」にとっても、約1年のブランク克服は容易ではない。今はまだ我慢が必要であるのと同時に、勝利に貢献したいとの思いが絡み合う。会見後もロッカールームの椅子にじっと座り込み、遠くを見つめる姿があった。

 「自分の中では感覚的にあと少し。その少しが難しい。本当になりたい姿に行くために、一球一球を無駄にしたくない。はっきりと分かる形で何かを変えていかないと」。チームは逆転で勝利をつかみ、松坂の黒星は消えた。この日の涙を力に変える糸口を、必死に探し求めていく。

 ▼レッドソックス ボビー・バレンタイン監督 初回はとても暑かった(気温33度)からね。それ以降は完璧だ。球速が増し、ストライクを投げ、テンポも良かった。われわれが望むことをしてくれた。

 ≪まさに「鬼門」の初回でまた≫松坂は今季の3試合で合計11失点のうち、2回までの失点が7。全体の約64%を占めており、不安定な立ち上がりが続いている。メジャー移籍後、イニング別(延長を除く)で最も失点が多いのも初回で、通算108イニングで75失点。防御率では6回の6.31がワーストで、初回が2番目に悪い6.00。この日はまさに「鬼門」の初回、6回に失点し、自らの悪いパターンにはまってしまった。

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