陰の立役者は橋上コーチ 「かみさん」の指示は具体的でプラス思考

[ 2012年6月17日 06:00 ]

<楽・巨>交流戦優勝を決め右翼席の巨人ファンに向かって帽子を振る巨人・原監督(右)、賞金ボードを上げる阿部(左から2人目)らナイン

交流戦 巨人10-1楽天

(6月16日 Kスタ宮城)
 巨人の交流戦初優勝の要因の一つに、スコアラー登録で試合中はユニホームを着ない橋上戦略コーチの存在がある。

 選手としてヤクルトで、ヘッドコーチとして楽天で野村監督からID野球を吸収した。相手投手の配球、セットポジションのモーションのタイムなど事細かなデータをそろえる。「どこのチームでもやっていること。それをどうやってチームに伝えていくかが重要」とデータの活用法を説く。

 その伝え方が最も効力を発揮したのが5月4日の甲子園。これまでの対戦で13勝を許していた阪神・能見を6回でKO。原監督は「フォークは打つな(という指示)だった」と試合後に明かしたが真相は違った。ナインに出ていたのは「フォークボールだったら見逃しストライク、三振でもいい」という通達だった。同コーチは打撃コーチと意見をすり合わせ「ベンチで指示の責任を取りましょう」と指揮官に進言した。

 それまでの「~は打つな」「~に気をつけろ」という指示から「~を狙え」「~していい」という具体的でプラス思考になれる伝達方法を取ることで、打者に積極的な姿勢が生まれた。その後、同6日から交流戦開幕7連勝を含む10連勝と快進撃。チーム打率も4月までの・231から5月は・251、6月は・298(13日の時点で・301)と上昇した。

 ナインからは「はしがみ」をもじって「かみ(神)さん」とまで呼ばれる。試合前には「きょうもお願いします」と同コーチを拝む安田学園の後輩・阿部は「打者が楽に打席に立てるようにしてくれていますよね」と話す。同コーチの存在なくして、セ・リーグ初の交流戦優勝はなかった。

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2012年6月17日のニュース