夏の大会5年ぶり1勝!北部農林・伊波 魔球で1安打完封

[ 2012年6月17日 06:00 ]

<北部農林・名護商工>開幕試合で1安打完封した北部農林・伊波

沖縄大会1回戦 北部農林5―0名護商工

(6月16日 沖縄セルラースタジアム那覇)
 第94回全国高校野球選手権(8月8日から15日間、甲子園)の沖縄大会が16日、沖縄セルラースタジアム那覇など3会場で開幕。全国に先駆けて熱い戦いの火ぶたを切った。開幕カードは、北部農林の伊波尚紘投手(3年)が名護商工に1安打完封勝利。01年センバツで宜野座を4強に導き、今年4月に就任した奥浜正監督(51)に全国一番乗りの白星をプレゼントした。

 しゃく熱の太陽がグラウンドを焦がす。気温30度を超えた沖縄で球児たちの夏が開幕。オープニングゲームで北部農林の伊波が1安打完封し、全国最初の勝ち名乗りを上げた。

 許したヒットは、2回2死一塁からの中前打のみ。伊波は「正直もったいないですよね」とはにかんで笑った。エース津波の右肘不調で巡ってきた先発チャンスで公式戦初完封。緊張で前夜は寝付きが悪かったという右腕を支えたのが「宜野座カーブ」だ。

 01年センバツで宜野座をベスト4に導いた奥浜正監督が、今年4月に監督に就任。伊波は曲がりが早くて大きい宜野座カーブをさっそく伝授された。手の甲を捕手方向に向けて肘を外側に捻るようにして投げる、奥浜監督が独自に開発した魔球だ。「きょうは20球ぐらい投げてショートゴロとかに打ち取れた」。直球の最速は130キロながら宜野座カーブと80キロ台のスローカーブを交えて緩急を付けた。

 奥浜イズムが浸透し部員31人のチームは変わった。「基本的な生活習慣から見直した」と奥浜監督。グラウンドの草むしりからネットの修繕まで選手が取り組んだ。指揮官は宜野座や前任校の名護に頭を下げ、ボールなど道具を譲り受けて練習環境が充実。夏の大会5年ぶりの勝利となって実は結んだ。

 2回戦は第1シードの沖縄尚学と対戦。奥浜監督は「自分たちの可能性を追い求める喜びを感じてほしい」と選手たちに期待した。この勝利でつかんだ自信をぶつけ、優勝候補に一泡吹かせる。

  ▽01年センバツの宜野座旋風 この年から導入された21世紀枠で、春夏合わせて甲子園初出場。2回戦から登場し7―3で岐阜一(岐阜)を破ると波に乗り、3回戦は強豪・桐光学園(神奈川)を4―3で撃破した。準々決勝は延長11回の激戦の末に浪速(大阪)に4―2で勝利。準決勝は1―7で仙台育英(宮城)に敗れたが「宜野座カーブ」を駆使したエース比嘉裕を中心とする堂々とした戦いぶりが、高校野球ファンに感動を与えた。

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