阿部、逆転V弾!杉内3回KOも…キャプテンが救った

[ 2012年6月12日 06:00 ]

<巨・ロ>5回2死二塁、右中間へ逆転2ランを放つ阿部

交流戦 巨人8-4ロッテ

(6月11日 東京D)
 これぞキャプテンだ!巨人の阿部慎之助捕手(33)は11日、交流戦優勝を争うロッテとの天王山で5回に8号逆転2ラン。7連勝中の杉内俊哉投手(31)が今季最短の3回4失点でKOされたが、自らのバットで傷心の左腕を救った。4点差からの逆転勝ちで、中日とともにリーグ30勝一番乗り。13日の日本ハム戦(札幌ドーム)に勝つか引き分けで交流戦優勝マジックが点灯する。残り4試合、原巨人がセ初の優勝に大きな1勝を手にした。
【試合結果 交流戦勝敗表】

 キャプテンとして、そして女房役として。阿部の気持ちが凝縮された一振りだった。

 5回、1点差に迫りなお2死二塁、マウンドは初対戦の右腕・中郷。「めちゃくちゃクイックが速くて、タイミングが取れていなかった」と初球は差し込まれてファウルとなった。しかし、立ち遅れないように意識し、3球目の難しい内角低め143キロ速球を強振。「バットが“スパッ”と出てくれた」。打球は、本拠地を埋めた今季最多4万6461人の絶叫を切り裂き、右中間席に突き刺さった。

 「バッテリーとしては序盤に試合を崩しかけてしまった。何とか打てて良かったです」。2年ぶりの4点差逆転勝利に導く一発には、歓喜だけでない思いがあった。試合後のベンチ裏。「僕が慎重になりすぎちゃったかな…。大胆にいってあげられなかった」と反省の言葉が口を突いた。

 敗れれば、ロッテに交流戦単独首位を初めて明け渡し、相手に優勝マジックが点灯する一戦。絶対エース・杉内が3回4失点で移籍後初KOに沈んでいた。しかし、移籍1年目でこの試合前まで8勝1敗、防御率0・96と驚異的な数字でチームをけん引してきた左腕の貢献度を誰よりも分かっているのが阿部だった。「良かったよ」と杉内の状態について短く言い、そして「ずっと完璧ということはない。また次、僕も含め2人で反省できればいい」と続けた。

 新天地に溶け込めるよう、キャンプ中から同じ新戦力の村田も含めて音頭を取り、食事会を開いた。キャンプでは大小2つのスライダーの曲がりの違いに捕球できず、素直に反省したことも。V奪回の使者として迎えた左腕の力が必要だからこそ、コミュニケーションを欠かさなかった。完全無欠の背番号18が入団後、初めて見せたうなだれる姿。「それでこうやってチームが勝てたのは彼にも良かったし、次につなげてくれると思う」。婦唱夫随となった雄姿は、バッテリーが一段上へ向かう過程にすぎない。

 「(交流戦)優勝とかあまり意識せず、いつも通りできれば。あす最終戦で優勝するというなら騒いでください」。最後はニヤリと笑った阿部。チームは4月22日を最後に約2カ月、連敗がない。大きな助け合いの1勝で、初の交流戦制覇をグイッとたぐり寄せた。

 ≪4点差逆転は10年9月以来≫巨人が0―4から8―4と逆転勝ち。4点差以上のビハインドをはね返して巨人が勝ったのは10年9月7日横浜戦(0―4→6―4)以来。交流戦では08年5月20日ロッテ戦で2―8から12―11と6点差を逆転して以来4年ぶりになる。5回逆転2ランの阿部は4月22日ヤクルト戦で同点3号2ランを放ってから、先制、先制、同点、先制、逆転と6本連続で肩書付きの本塁打。自身肩書付きの本塁打を6本続けたのは02年10~15号、07年23~28号に次いで3度目。また、東京ドームで阿部が本塁打した試合は10年7月4日阪神戦から1分けを挟んで22連勝となった。

 ≪最短Vは14日≫巨人の交流戦優勝マジック最短点灯日は13日。巨人が日本ハムに勝つか、引き分けることが条件で、同日に2位のロッテが広島に●でM2、○か△でもM3が出る。なお、巨人の最短優勝決定日は14日。

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