中島“らしい”アーチ 不振も最下位も脱出の2連発

[ 2012年6月9日 06:00 ]

<巨・西>5回1死二塁、左中間に2ランを放つ中島

交流戦 西武6-4巨人

(6月8日 東京D)
 西武・中島裕之内野手(29)が8日、2打席連続本塁打で、チームを3連勝に導くと同時に、5月21日以来の最下位脱出に導いた。1点を勝ち越した直後の5回1死二塁で、5月1日の楽天戦(西武ドーム)以来、27試合ぶりとなる左中間越え3号を放つと、7回には右中間越え4号ソロ。不動の3番打者の不調がチームが低迷する要因の一つとなっていたが、この2発が復調への足がかりとなりそうだ。

 27試合ぶりの一発は、中島らしい打球だった。1点を勝ち越し、なお1死二塁の5回。緩く沈む変化球を、力みのないスイングで左中間席上段まで運んだ。

 「久しぶりで気持ち良かった。西口さんが格好良くホームにスライディングしたので、僕も打ちたいなと」

 7回には直球を右中間席へ2打席連続の本塁打。試合後は「前はこんな感じで打ってたなぁ」と笑った。

 シーズン序盤のこと。激しい内角攻めに対して、得点圏で凡打が続いた。「本塁打より二塁打を打ったろ」とバットを短めに持ったところ「ライナーで野手の間を抜くような打球」が続き好感触を得たという。ただ、同時にこれが落とし穴でもあった。「スイングが小さくなった。それで上体に力が入ったり…」。本来の打撃を見失った。

 さらに5月中旬に打率は3割を割り込んだ。再び修正を試み「大きく振る」ことにたどりついた。テークバックを大きく取ってためをつくることで、下半身の力を確実にバットへ伝えられるようになった。

 「得点圏(打率・232)がメッチャ悪いのは気にしてましたから。ボールを一つでも多く放らせたいとも思うし、調子が落ちた時の引き出しを増やしたい」。持ち味であるコンスタントな打撃を続けるための探求心。試合中も打席ごとにバットを短く持ったり、工夫を凝らしている。昨オフはポスティング・システム(入札制度)を利用してメジャー移籍を目指したが、ヤンキースと交渉決裂。今オフは海外FA権を行使することが決定的だが、海の向こうにある自分の夢を果たすためにレベルをもう一段階上げたい。そのための試行錯誤。もちろん、「チームが勝てば、なんでもいい」が口癖のように、優勝が最大目標であることは変わらない。

 ▼西武・渡辺監督(中島について)本人もフラストレーションがたまっていただろう。これをきっかけにしてほしい。

続きを表示

2012年6月9日のニュース