代打で結果出ないまま…和田監督 新井に賭けた「あと一歩なんだ」

[ 2012年6月5日 09:48 ]

ロングティーを打つ新井

 打撃不振で最近3試合は代打待機だった阪神・新井貴浩内野手(35)が、5日の楽天戦(Kスタ宮城)で先発復帰することが濃厚になった。和田豊監督(49)が示唆した。札幌からの移動日だった4日は、宮城県岩沼市内の小学校への慰問後に志願の練習参加。1時間に及んだ打ち込みでは和田監督からの直接指導も受けた。

 和田監督は新井を先発復帰させる可能性を否定しなかった。楽天戦でも代打起用を継続するか、と問われた時だ。「そんなことはないよ」。復帰示唆に聞こえた。いや、言葉以上に行動から“答え”が見えた。

 札幌からの移動日。主力組が軒並み練習を免除された中、新井は志願で参加した。被災地の小学校を慰問した後、球場に駆けつけた。

 心意気に応えた。打撃ケージのそばに付き添い、言葉と身ぶりを駆使して助言を送った。途中には打撃投手に対して「緩い球を」と要求。さまざまな手法を用いて技術的な課題解消を手助けした。監督就任後、公の場での直接指導は初めて。復調へ背中を押し続けた。

 新井も応えて懸命に振った。フリー打撃の前にはロングティーを実施。合計の打撃練習は1時間近くに及んだ。キャンプさながらの光景だった。異例の直接指導、精力的な打ち込み…。すべては先発復帰へ向けた準備に映った。

 「もうちょっと、もう少しのところまできている。もう一歩、踏み出せば、元の新井に戻る。後は試合で結果が出るか、どうか。きのう、おとといは代打で出て、2打席とも結果が出なかったけど、内容は悪くない。あと一歩のところなんだ」

 期待を込めた口調が決断をにおわせた。片岡打撃コーチの言葉からも同じにおいがした。「勝負の白黒を付ける打席で結果を出してほしい。代打で行かなくても、先発に戻ったとしても、彼にはそういう打席が回ってくると思う」。復調への刺激策として採ったチャンス限定の代打起用が賭けなら、2打席無安打を経た先発復帰も大きな賭けだろう。

 新井がベンチ待機した3試合は計6得点。やはり、ピースを欠いたままでは得点力は上がらない。札幌では2連敗も喫した。沈滞する雰囲気の払しょくを願い、変化を新井復活に求める心情も想像できる。

 「徐々に良くなっていると思う。きょうは長く打たせてもらえるということだったんで。いい練習になりました」

 新井は多くを語らなかった。移籍後初の先発落ちの屈辱、代打での発見…。失ったものも、得たものもあるだろう。答えはグラウンドで出せばいい。

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2012年6月5日のニュース