不振極めた早大主将 優勝V打!高田高ナインに届けた

[ 2012年5月24日 06:00 ]

<早大・明大>3季ぶり、43度目の優勝を決めマウンド上で歓喜の早大ナイン

東京六大学野球第6週最終日 早大7―6明大

(5月23日 神宮)
 早大が昨季覇者の明大に7―6で競り勝ち、斎藤佑樹(日本ハム)を擁した10年秋以来 3季ぶりの優勝を飾った。43度目の優勝は法大と並びリーグ最多タイ。6―6の延長10回2死一塁から途中出場の佐々木孝樹主将(4年)が、左翼線に勝ち越し二塁打を放った。今年1月に岩手県陸前高田市を訪れ、本紙「復興へのプレーボール」で連載中の高田高校ナインに優勝を約束したが、その誓いを守った。早大は6月12日に開幕する全日本大学野球選手権に出場する。
【試合結果】

 激闘の末に手にした3季ぶりの優勝。それでも三塁側スタンドに一礼した佐々木はすぐには顔を上げられなかった。心の中で優勝の喜びと自身のふがいなさが入り交じっていた。

 「(不振は)まだ帳消しにできてないけど大事な場面で打てたのは、野球の神様が今までやってきたことをちゃんと見てくれてたのかな」

 今春は前日まで打率・125と不振を極め、この日ついに先発落ち。5回の守備から途中出場したが、2打席連続三振を喫した。しかし同点で迎えた延長10回2死一塁。ここぞの場面で勝ち越しの左翼線二塁打を放つ大仕事をやってのけた。自らの一打で3時間40分の熱戦にケリをつけ「先発落ちは悔しかったけど、チームの雰囲気が悪くなるから上を向いていた」と充実感をにじませた。

 佐々木ら部員13人は、1月28日から2日間の日程で東日本大震災で被災した岩手県を訪問した。壊滅的な被害を受けた陸前高田市の街を目の当たりにし「正直ここまでとは…」と絶句した。早大OBの佐々木明志(あきし)監督率いる高田高校の部員らと野球教室で親睦を深め、そこで優勝を誓った。室内練習場には同校からの礼状が今でも張られている。「大変な状況なのに、野球がうまくなりたいと意欲的だった」。普通に野球をやれるありがたさ。彼らの顔を思い返せば、自身のスランプなど小さいものだと感じることができた。

 今年の4年生の合言葉は「4年生が一番苦しむ」。佐々木自身も毎朝6時30分からトイレ掃除を欠かさずやってきた。今季の主力は3年生以下だが、雑用に取り組む最上級生の姿を知っているからこそ、チームは一つにまとまった。「(高田高校に)いい報告ができて良かった」。試合後の佐々木は満面の笑みで球場を後にした。

 ▼早大・岡村猛監督(11年春の就任から3季目で初優勝)佐々木はいつ打つのかと辛抱してたけど、最後にいい打球を打ってくれた。大した主将です。選手は強く、たくましくプレーしてくれた。

 ▼日本ハム・斎藤 主将の佐々木は早実の後輩でもあるし、うれしいです。(バッテリーを組んでいた)杉山も4本塁打打っているし凄いですよね。4年生が活躍して優勝するのが一番いい。それプラス1年生の若い力があっていいですね。

 ▼高田高校・佐々木明志監督 子供たちも応援していて喜んでいました。優勝したことは励みになりますし、勇気をもらいました。私たちも25日に岩手県大会があるので頑張ります。

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