釜田153キロデビュー!指揮官先発ローテ入り明言

[ 2012年5月21日 06:00 ]

<神・楽>マ-トン(手前)を相手に力投する楽天・釜田

交流戦 楽天10-6阪神

(5月20日 甲子園)
 甲子園に詰めかけた4万6801人の大観衆のド肝を抜いた。スコアボードの球速表示は「153km」。まだあどけなさが残る18歳の楽天・釜田が、昨年は高校球児として沸かせた聖地でプロとして鮮烈デビューを飾った。

 「凄くいい経験ができたし、楽しかった。思ったよりも緊張はなかった。アンラッキーな安打もあったが、そこで踏ん張れる投手になりたい」

 球団では07年の田中以来の高卒ルーキー1年目の先発デビュー。初回に1点を失い、なお1死二、三塁で新井を迎えると「ピンチだったので力が入った」。1ボール2ストライクから投じた4球目は金沢時代の昨夏甲子園で記録した自己最速タイの153キロを叩き出した。打球はバックネット方向へのファウル。身長1メートル77と小柄ながら、3歳から12歳まで水泳で鍛えた上体のバネが剛球を生む。最後は外角スライダーを振らせて空振り三振を奪った。

 脳裏に焼き付いている夏がある。中学1年だった06年8月21日。友人らと地元の石川から甲子園に駆け付け、駒大苫小牧と早実の引き分け再試合の決勝をスタンドで観戦した。現在のチームメートでもある田中と斎藤(現日本ハム)の意地とプライドを懸けた投げ合いを見届けた。当時は地元の「九思(くし)少年野球クラブ」で捕手を務めていたが「いつか自分も夢を与える投手になる」と2人に憧れて投手に転向した。あれから6年。プロという新たなステージに進んでも、高校時代から好んで使った言葉「闘球」の精神は変わらなかった。

 味方の守備が乱れて3回3失点。4回に代打を送られて降板したが自責は1と実力の片りんは見せた。星野監督は「釜田はいい経験をしたね。初回は(遊撃手の枡田の失策などがなければ)3者凡退や。次も先発?もちろん投げさせる」と先発ローテーション入りを明言した。闘将だから「闘球」にホレる。釜田が投じた73球は、楽天の未来を明るく照らした。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ(釜田について)堂々としていた。でもかわいそうだったね。守備でもり立ててほしかった。

 【楽天・釜田佳直(かまた・よしなお)】

 ☆生年月日 1993年(平5)10月26日、石川県小松市生まれの18歳。
 ☆サイズ 身長1メートル77、体重78キロ。

 ☆球歴 小学校で野球を始め、地元の地域で発行している新聞に将来の夢は「プロ野球選手」と記した。

 ☆甲子園 「北陸の超特急」との異名を取り、金沢3年だった昨夏の石川大会準決勝では同じくドラフト候補の星稜・西川健太郎(現中日)と対決。日米12球団30人のスカウトが集結する中で投げ勝ち、春夏連続出場。

 ☆趣味 読書。昨秋ドラフトで楽天入りが決まってからは、星野監督や、マリナーズ移籍に伴って背番号21を受け継いだ岩隈の著書など、野球関係の本が多い。

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2012年5月21日のニュース