能見だから言う 和田監督あえて苦言「あの1点、という流れだった」

[ 2012年5月20日 11:10 ]

<神・楽>8回1死一、三塁、フェルナンデスに左犠飛を打たれた能見

交流戦 阪神2-3楽天

(5月19日 甲子園)
 酷なのは承知の上だ。阪神・和田監督はあえて苦渋の色を表情に出した。1点を守り切れなかった。守れなかったのは能見だった。もしも能見以外なら苦言は出なかったかもしれない。エースだけに掛ける思いに聞こえた。

 「1点だけで勝つのはしんどいかもしれないけど、きょうの試合の中では“あの1点で”という流れだった」

 初めての好機を生かした4回の先制点。辛うじて得た最少得点を支えにたどり着いた終盤7回、1死一塁で迎えたテレーロに左中間席へ運ばれた。初球ファウルの後、真ん中のスライダーを逆転被弾。打率1割台の男に来日1号を献上した痛恨の99球目だった。

 7回の攻撃が8番打者で終了した8回も続投のマウンドへ。1死から連打で一、三塁を背負い、フェルナンデスに初球を左犠飛された。致命的な失点で勝敗は決した。

 「(本塁打は)スライダーです。抜けました。(振り返って)言ったところで、どうしようもないので…」。敗戦を背負う帰り道、左腕は悔恨を靴音とともに残した。7回は浅井が中堅フェンス激突の好捕、8回は平野が二遊間の打球を好守。本来なら奮い立つ味方好守の直後に崩れたことも残念だった。

 現状を思えば、大量援護は端から望めない。試合開始から重圧と背中合わせ。心身の負担は単純な球数では測れない。ただ、得点不足は阪神に限らない。どこも同じだ。いまは少ない得点で勝ち抜いていくしかない。苦難を進む虎投の軸は、やはり能見しかいない。

 8回続投に和田監督は迷いを見せなかった。エースに試合を託すとは、そういうことだろう。雪辱を信じ、過酷な思いを向けた。

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2012年5月20日のニュース