松坂「打たせて取る」スタイルに課題 復帰先送りも

[ 2012年5月19日 06:00 ]

<ダーラム・ポータケット>1回、松井(左)と対戦する松坂。一ゴロに打ち取る

インターナショナル・リーグ ポータケット0-5ダーラム

(5月17日 ダーラム)
 右肘手術からのメジャー復帰を目指すレッドソックスの松坂大輔投手(31)は17日(日本時間18日)、レイズ傘下3Aダーラム戦に先発し、6回2/3を7安打5失点。マイナー契約からメジャー昇格を目指す松井秀喜外野手(37)を無安打に抑えたが、打たせて取るニュースタイルに課題を残した。22日(同23日)の3Aノーフォーク戦での内容次第では、メジャー復帰は6月以降にずれ込む。

 松坂は今、理想と現実のはざまにいる。最速は91マイル(約146キロ)。試合後の会見で包み隠すことなく言った。

 「少しずつ芯を外して投げていければ、長いイニングを投げられる。きょうのような投球は面白くないですけど、まだ手術して1年たっていないことを考えると、あまり高望みせず、割り切って投げなければいけない」

 今年中に本来の速球を取り戻すのは難しい。右肘の状態は日々変化し、フォーシームの威力にも差が出るからだ。出した答えは、打たせて取るスタイルの確立。メジャー復帰後も厳格な球数制限の中で投げることを考えた上での決断だった。

 平日のナイターながら1万を超える大観衆。3Aで実現した日本人大物対決に注目が集まった。松坂は1人だけメジャーのユニホームを着てマウンドへ。松井との2年ぶりの対戦は3打席全てツーシームで芯を外した。「気持ちは自然と入っちゃいますね。松井さんの時に限って思ったようにボールが動いてくれた」と話す一方で「それがもっと全体的に出てくれると安心できる」。今季最長6回2/3最多95球を投げたが、5点を失った。

 スライダー、チェンジアップといった緩い変化球も試行錯誤が続く。6回に浴びたリグレーの左越え3ランは肩口から真ん中に入ったスライダー。「ちょっとした誤差ならいいですけど、はっきり違いが出ている」と感覚のズレを口にした。ブルペン投球再開から4カ月。マイナー5試合で、全て課題をクリアするには無理がある。しかし、松坂は地区最下位に沈むチーム状況も考え「いつまでも理想は追い求められない」と答えを出そうともがいている。

 故障者リスト(DL)入りしたまま、松坂がマイナー戦に登板できるのは22日が最後。復帰間近を明言していたボビー・バレンタイン監督は「まだ時間が必要」と前言撤回した。23日以降のマイナーでのリハビリ登板続行に向け、球団はルール上の確認を始めている。

 ≪調整は30日が上限、再申請検討≫メジャーで故障者リスト(DL)入りしている投手には、復帰前のリハビリ調整としてマイナーでの出場が30日間与えられる。通常は30日の期限が切れる前に25人枠への登録が必要。ただし、同期間中に何らかの故障があったとコミッショナー事務局に申請し承認されれば、いったんマイナーの7日間DLに入り、もう一度最初から30日の調整が許される。

 【松松対決アラカルト】

 ☆チケット 前日に通常席1万枚が完売し、芝生席を開放。観衆1万64人は今季最多で、シーズン序盤では異例の多さ。球場最多は10年7月4日の1万1674人。

 ☆Tシャツ 松井Tシャツは飛ぶように売れ、無地のユニホームに売店で松井の名前と背番号55を入れるサービスにも行列。広岡勲広報も店頭に立って対応した。スタッフが少なく多部門を兼務するマイナーならでは。

 ☆57分遅れ 試合開始は雨のため57分遅れの午後8時2分。通常なら定刻通りプレーボールする程度の降りだったが、ダーラムの球団幹部は「松坂にいい形で投げてほしかった」と説明。

 ☆報道陣 前日までの約35人からさらに増え、日米合計約50人に。日本報道陣向けに開放された臨時記者席は、すし詰め状態となった。

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2012年5月19日のニュース