田淵ヘッド手記 厳しさと心遣いを使い分ける「仙ちゃん」

[ 2012年5月12日 09:45 ]

星野監督通算1000勝

 【田淵ヘッド手記】監督、おめでとう。名将の一つの指標となる通算1000勝。最初から強いチームを率いたわけじゃない。2度にわたる中日、阪神、楽天といずれも前年5位以下のチームを引き受けながら監督通算15年目での到達。同期の野球人として誇りに思う。

 信念の男。決して妥協しない。年とともに少しは柔らかくなったが、やり方は変わらない。主力選手でもチームにとってマイナスになると思えば平気で2軍に落とす。アメとムチを使い分け、オンとオフを巧みに切り替える。選手に厳しく接する一方で、今年プロ初勝利を挙げた戸村や辛島に記念の腕時計をプレゼントするなど心遣いも忘れない。勝利のためには非情にもなれる。阪神時代の2002年オフ、獲得候補としてペタジーニ、中村紀(現DeNA)金本の3人がいた。「誰がいい?」と聞かれて「そりゃあ金本だね。でも獲ったら監督の浩二(山本)がかわいそうだな」と答えたら、「何を言うとるんや。勝負の世界に情けは無用や」。金本を獲って翌03年に優勝したのは言うまでもない。

 私が「大将」とほれ込んだ男。01年オフ、阪神監督就任に際して「一緒に行くぞ」と言われて全く抵抗はなかった。一蓮托生(いちれんたくしょう)。おそらく最後となる山を目指し、コーチとして監督を支えていきたい。ユニホームを脱いで再び「仙ちゃん」に戻る日まで――。(東北楽天ゴールデンイーグルス・ヘッドコーチ)

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2012年5月12日のニュース