大ミス翌日に即汚名返上 阿部ぺこり反省打

[ 2012年5月10日 06:00 ]

<巨・D>途中交代した阿部(右から2人目)は出迎えで「反省ポーズ」

セ・リーグ 巨人8-5DeNA

(5月9日 東京D)
 一夜で汚名返上です!!――。巨人の阿部慎之助捕手(33)が9日のDeNA戦で主砲の仕事だ。初回に反撃の中前打を放つと、6回にも球団史上7人目の800打点目となる左前打。2本のタイムリーで逆転勝利に貢献し、・326で打率トップに立った。8日に宇都宮で行われた同カードで2点リードの9回2死に平凡なフライをまさかの落球。引き分けの責任を一身に背負い、本拠地で面目躍如だ。

 ナインを出迎える勝利の儀式。ベンチから飛び出した阿部はぺこりと頭を下げ、反省のポーズで気持ちを表現した。落球という大失態を犯したその翌日に、汚名返上のタイムリーを2本並べた。「返す、返さないじゃないから。とにかく結果を出すしかないと思っていた」と勝利の立役者は厳しい表情で振り返った。

 いきなりラミレスに先制2ランを浴びる嫌な展開。引き分けた前夜から引きずる重いムードを、自らのバットで切り開いた。初回2死一、三塁で1点差に戻す中前適時打。チーム初得点で打線に勢いをもたらす。とどめは6―2と逆転して迎えた6回2死一、二塁。鮮やかに左前へ流し、ダメ押しの適時打だ。節目のプロ通算800打点に到達。球団では史上7人目の快挙で「それは知らなかったよ。ヘッドを返さないように我慢できた」。打率・326はリーグトップに返り咲いた。これでお役御免と代走を送られ、満場の拍手の中でベンチに退いた。

 「人生初」と振り返るミスを前日、宇都宮での地方開催で犯した。腰痛から回復し、7試合ぶりの先発復帰だった。9回2死で平凡なフライを落球。チームは最大6点差を追いつかれた。負けに等しい引き分け。試合後、懺悔(ざんげ)した。「あれで勝てなかった。本当に申し訳ない。取り返せるとしたら、あすしかない。何日も待てない」。離脱前まで主将、4番、正捕手という「一人3役」を背負ってきた。4番こそ村田に譲ったが、5番として勝負強さを発揮した。

 離脱した6試合。その責任も感じていた。復帰を信じ首脳陣は登録抹消せず、捕手を4人置く異例の態勢を6試合も敷いた。当然、他の選手層は薄くなる。昨年は開幕直前に左ふくらはぎを肉離れし、復帰は交流戦にずれ込んだ。今季は1月のグアム自主トレから重量縄跳びを練習メニューに取り入れ下半身を強化。故障防止に人一倍努めてきた。誰よりも責任感の強い男が、翌日のみそぎ。どんな言葉よりも鋭いバットは雄弁だった。

 ミスを取り返す阿部の姿に原監督は「きのうはそりゃあ悔しくて、きょうを迎えたでしょう。そういうものがあり、タイムリーになった」とうなずいた。ミスは誰にでもある。大事なのは、その次に何をなせるか。1分けを挟み2連勝で、チームは開幕3戦目の4月1日以来となる借金1。傷つくたびに力強さを増す原巨人に、浮上への水面が見えてきた。

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