面影見せたが…井川日本復帰戦は足痛め途中降板

[ 2012年5月10日 06:00 ]

<オ・ソ>4回途中、井川は右太もも裏を痛め、交代となる

パ・リーグ オリックス0-1ソフトバンク

(5月9日 ほっと神戸)
 オリックスの井川慶投手(32)が9日のソフトバンク戦(ほっと神戸)で06年10月16日のヤクルト戦(神宮)以来2032日ぶりに公式戦に登板。4回途中に右太もも裏の違和感を訴えて降板した。3回2/3を被安打3の1失点で黒星を喫したものの、MAX144キロの速球を見せるなど日本での復活に期待を抱かせる内容だった。しかし、軽症も、大事をとって10日にも出場選手登録を抹消される。

 突然の異変だった。4回2死、江川への2球目を投げ終えた井川が右太ももを押さえて顔をしかめた。一体何が…。6年ぶりとなる日本球界での復帰初登板の勇姿を見守っていたファンが静まりかえる中、治療のためベンチに下がった背番号「29」は、そのまま交代を告げられた。

 「投げ終えた時にピキッときた感じだった。ベンチに戻っての確認で(足に)力は入っていたんですけれど、若干弱い気がしたので…」

 幸い症状が軽症だったこともあり、この日は病院に行かずトレーナー室でアイシング、電気治療を受けるにとどまった。「テープ巻いとったらいけるということやったけど、ここで無理することもないからな」と岡田監督も大事を取っての交代だったことを明かした。

 62球。あっけない幕切れとなったが、見せ場の詰まった復帰劇だった。登板前に「前のイメージを持っているとガッカリすると思いますよ」と消極的なコメントを残していた左腕だったが、マウンドでは阪神時代をほうふつさせる力強いフォームからMAX144キロのストレートを繰り出した。3回、1死一、三塁で明石に遊撃適時内野安打を許し先制点こそ許したが、さらなる1死満塁のピンチは内川を空振り三振、ペーニャを二ゴロに仕留め追加点を許さなかった。

 阪神時代を含め、実はホークス戦が大の苦手だった。03年の日本シリーズをはじめ、この日まで5試合の登板で0勝3敗、防御率は7・52。それでも「変なイメージを与えたくなかったし、変化球ピッチャーと思われたくなかった」のプライドが好投を呼んだ。

 「そこそこ打者を押し込めていたし、今の状態ならこんなものかな」。軽症とはいえ、10日にも出場選手登録を抹消されるが、復活への確かな手応えを感じたマウンドとなった。

 ▼オリックス・赤堀投手コーチ(井川に)気持ちが入って、今までにない感じだった。ファーム(での登板)を通じても一番よかった。

 【井川復帰までの経過】
 ▽11年11月3日 オリックスが井川の獲得に乗り出すことが判明。球団関係者が「調査はずっとしている」

 ▽同4日 楽天も井川の獲得を本格的に検討していることが判明。オリックス、楽天ともに米国でのプレーを希望する井川の意志を尊重し、経過を見守る方針。

 ▽12年1月20日 茨城県内で自主トレ中の井川が、日本球界復帰の可能性について初めて言及。「(米球団からの)オファーがなければ、もちろんそういう(日本復帰の)選択肢はある」

 ▽同3月28日 オリックスが井川の獲得を発表。年俸1億円プラス出来高の2年契約で、背番号「29」。

 ▽同4月8日 京セラドームでシート打撃に登板。打者5人に対し計11打席47球で安打性は1本のみ。

 ▽同18日 2軍広島戦(由宇)で6年ぶりの国内実戦登板。先発で3回1安打無失点と上々。

 ▽同24日 2軍ソフトバンク戦(ヤフードーム)で先発。初回に4点を奪われるなど、5回7安打5失点で敗戦投手。

 ▽同5月1日 2軍阪神戦(甲子園)で先発し6回1失点。「お客さんの歓声がうれしかった。こういう形で戻ってこれてうれしい」

 ▽同7日 ほっと神戸で実戦を想定した投球練習。「前の(三振の山を築く)イメージを持っているとガッカリすると思いますよ」と消極的なコメント。

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2012年5月10日のニュース