東浜通算30勝&20完封!驚異の記録に3つの要因

[ 2012年5月10日 06:00 ]

<東洋大・亜大>3安打7奪三振で完封勝利の亜大・東浜。これで30勝中20勝が完封勝利となる

東都大学野球第6週第1日 亜大4-0東洋大

(5月9日 神宮)
 今秋ドラフトの1位候補、亜大の東浜巨(なお)投手(4年)が東洋大を散発の3安打、7奪三振で完封し、今季4勝目。東都大学リーグ史上12人目の通算30勝に到達し、完封は自らの持つリーグ最多記録を更新する20試合となった。芝池博明が専大で樹立したリーグ通算最多勝利41勝も視界に捉え始め、白星をどこまで積み重ねることができるのか、興味は尽きない。

 節目の勝利はやはり完封だった。唯一完封がなく、6連敗中だった東洋大を相手に三塁を踏ませず散発3安打でシャットアウト。個人記録に関心を示さなかった東浜が、最後の打者を三振に仕留めた際に見せたガッツポーズが、この勝利が「特別」であることを表していた。

 「終盤に勝ちと完封を意識したのは大学で初めて。ホッとしている」

 雨天順延続きで中14日の登板。「これという球がなかった」と本人は振り返ったが、きれいに9つゼロを並べた。今季は5試合で3完封。通算30勝のうち、実に20勝が完封。そこには3つの要因が隠されている。

 (1)体調に応じた投球術 昨秋に痛めた右肘に不安を抱える今季は、最速152キロを誇ってきた直球の平均速度が140キロ前後。この日も最速は143キロで140キロを超えたのは全142球中わずか14球。捕手の嶺井が「三振が取れないなりに投球スタイルを変えている」と話すように、今季は常にセットポジションで投げる。先発1試合平均の奪三振が昨年の8・2個から今季は5・8個に減少したが、制球を重視し打たせる投球に徹している。

 (2)打者を幻惑するフォーム オリックスの中川隆治スカウトは「直球とツーシームの腕の振りが全く同じ。そこからボールを動かせるから打者は打たされる」と分析。体に隠れるテークバックで打者に球の出どころを見せない工夫もしている。この日は6人の左打者を並べた相手打線に対し、外に逃げていくツーシームを効果的に配球。8回2死一、二塁ではプロ注目の左の好打者・緒方を135キロのツーシームで二ゴロに仕留めた。

 (3)洞察力 3球で2アウトを取った2回は、6番・藤本に対して直球を2球続けて追い込み、7球目で中飛に仕留めた。前の打者が早打ちで凡退して迎えた3人目は待球が定石。打ち気のない打者の雰囲気を感じ取り、無駄なボール球を使わない投球術だった。

 中大時代の沢村(現巨人)は通算19勝、東洋大時代の藤岡(現ロッテ)は27勝だった。それだけに東浜の凄さが際立つ。「目標の数字を決めると限界ができる。目標は決めません」。運命のドラフトまで、勝てるだけ勝つ。

 ▼東洋大高橋昭雄監督(東浜相手に初の零敗)東浜君がうまかった。初めての零敗は悔しい。

 ◆東浜 巨(ひがしはま・なお)1990年(平2)6月20日、沖縄県うるま市生まれの21歳。小1で与那城ストロングに入団し、野球を始める。与勝中3年夏の九州大会は3位。沖縄尚学では08年センバツで全国制覇。亜大入学後、1年春のデビュー戦から3試合連続完封。09年春から3季連続でベストナインに選出された。リーグ戦通算30勝17敗。1メートル81、73キロ。右投げ右打ち。

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