宮本　押し出しＯＫ！チーム優先で“絶好球”見逃す

＜Ｄ・ヤ＞４回２死一塁、ヤクルトの宮本は二ゴロに倒れる

セ・リーグ ヤクルト１－３ＤｅＮＡ

（5月3日 横浜）
　打ちたい。しかし、ヤクルト・宮本はチームの勝利を最優先させた。２点を追う６回１死満塁。３ボール１ストライクから高崎の投じた直球は真ん中高めにきた。振ってもおかしくないコースだったが、手を出さない。手を叩いて一塁に向かった。安打と同じ価値のある押し出し四球。２０００本まであと１本など関係なかった。

　「僕のヒットのために試合をやっていない。勝つためにやっている。打ちたいのはあったけど、（外野が定位置の）守備隊形を見て、犠牲フライでもいいと思った。０点だと高崎に投げ続けられる。押し出し？良いと思います」。試合には敗れたが、フォア・ザ・チームを実践してナインを鼓舞した。

　雨が舞う悪天候の中、ヤクルトファンの陣取る左翼席はぎっしりと埋まった。偉業達成の瞬間を見ようと。だが、２回の第１打席は投ゴロ、４回の第２打席は二ゴロと高崎に抑え込まれた。「甘い球がなかった。（サインに）首を振ってスライダーを投げていた。打たれたくなかったんでしょう」。９回の４打席目も空振り三振に倒れた。

　リーチ一発とはいかなかったが、４日から本拠・神宮で広島と３連戦を行う。初戦で打てば１９７６試合目での達成。元同僚で先に２０００安打を打った稲葉（日本ハム）と同じ試合数だ。「そうですね。まああした打ちたいというより早く打ちたい。神宮で応えられるように頑張ります」。野球の神様が、この運命を用意したのかもしれない。慣れ親しんだ球場で、宮本は必ず決めてくれる。

　≪４日達成なら稲葉に並ぶ…福井（広）とは相性◎≫宮本（ヤ）は３打数無安打。通算２０００安打は持ち越しとなった。４日の広島戦で達成すると１９７６試合目で、稲葉（日）と並ぶ歴代２３位タイの到達ペースになる。過去に同じ試合数で２０００安打を記録したのは８４年有藤道世（ロ）、８５年山本浩二（広）の１９４４試合目（２０位タイ）、８０年松原誠（大洋）、００年駒田徳広（横）の２０５５試合目（３２位タイ）とあり、３度目になるか注目だ。ちなみに４日予告先発の福井とは通算１５打数９安打（打率・６００）と相性がいいがどうか。