小石 7回零封初勝利も…待望の俳句は字余り

[ 2012年5月4日 06:00 ]

<西・楽>ハイタッチでファンにプロ初勝利を祝福される西武・小石(手前)と4安打の秋山

パ・リーグ 西武6-1楽天

(5月3日 西武D)
 初めての本拠お立ち台。ウイニングボールを手にした西武の小石は「やりました!」と左拳を突き上げた。そして、待望の瞬間が訪れた。

 「初志貫徹 負けぬという気持ちで 初勝利」

 大分・鶴崎工時代に伊藤園の「お~いお茶新俳句大賞」に応募。高校の監督と2人きりで怒られているときを想像して「二人きり いつも以上の 心臓音」と詠んだ句が、恋愛に対する少年の純粋な気持ちを評価されて都道府県賞を受賞。その実力を披露したが、見事な字余り…。球場は笑いに包まれたが、温かい拍手へと変わった。

 借金7で迎えた3連敗中の一戦でルーキーが奮闘。その投球は俳句にも詠んだ「絶対に負けない気持ち」がこもっていた。左の変則横手投げ。上から投げ、140キロを楽に超えていた大学時代に「人と同じことをやっていても駄目」とテークバックを小さくした捕手のような独特な投げ方に変えた。球速は出なくなったが、球の出どころが見にくく、タイミングもとりづらい。この日は前日19安打12得点した楽天打線を手玉に取った。

 7回4安打無失点。直球は最速139キロだが、手元で微妙に動く。そして緩急。最も遅いカーブは99キロで最大40キロの球速差があった。初登板初先発した4月26日ソフトバンク戦(ヤフードーム)では3回1/32失点で降板。緊張から集中できなかったが、2度目の先発では「(捕手の)ミットに向かって思い切り投げることができた」という。

 試合前、立正大の先輩・西口から「コントロールなんて気にするな」とゲキを受け、「吹っ切れた」と持ち前の強気の投球がよみがえった。「苦しい試合が続く中で小石がよく投げた」と渡辺監督。フレッシュな若獅子が低迷するチームに一筋の光を差し込んだ。

 ▼楽天・大久保打撃コーチ (小石は)こちらが思っていた以上に真っすぐがよかった。きょうのやり方じゃダメだということが分かった。

 ◆小石 博孝(こいし・ひろたか)1987年(昭62)4月13日、大分県生まれの25歳。大分・鶴崎工時代は甲子園出場なし。立正大では4年秋に東都リーグで初勝利を含む3勝(2敗)を挙げ南(ロッテ)とともに創部61年目でのリーグ戦初優勝、明治神宮大会初制覇に貢献した。社会人のNTT東日本を経て、昨年ドラフト2位で西武に入団。1メートル78、85キロ。左投げ左打ち。

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2012年5月4日のニュース