日本人対決でダル本領発揮 ヤンキース相手に完封目前

[ 2012年4月26日 06:00 ]

<レンジャーズ・ヤンキース>7回表2死、一塁、デレク・ジーターを空振り三振に討ち取り雄叫びを上げるダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ2-0ヤンキース

(4月24日 アーリントン)
 バットもヤンキースの鼻もへし折った。レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が24日(日本時間25日)、ヤンキース戦に先発し、8回1/3を7安打無失点。黒田博樹投手(37)との日本投手の先発対決を制し、メジャーデビューから無傷の3連勝を飾った。初完封こそ逃したが、バットを5本も折り、10三振を奪う圧巻の投球。公式戦4戦目で初めて初回からセットポジションで投球し、課題の制球を改善すると同時に、本来の球の切れも取り戻した。次回登板は5月1日(同2日)のブルージェイズ戦となる。

 地鳴りのような声援と拍手。9回1死一塁でマウンドを降りたダルビッシュに降り注ぐ。そして4万7085人のスタンディング・オベーション。デビュー戦となった9日のマリナーズ戦では不本意な投球から顔を上げることはなかったが、きょうは違う。右手で帽子のつばを軽く握ると、照れくさそうにスタンドに向けて右手を上げた。

 「前回は複雑でしたけど、きょうは凄く気分良くと言うか、(ファンが)称えてくれてうれしかった」

 登板4試合目にしての本領発揮。その背景には、初回から全てセットポジションでの投球があった。日本ハム時代は同様のスタイルで臨んでいたが、メジャー移籍と同時に首脳陣から「今以上に球に力強さが加わる」とワインドアップ投法を強く勧められた。ただ、振りかぶって反動をつけるワインドアップは、上半身が大きく動くため、体の軸がぶれやすい。メジャー特有の硬いマウンドも手伝って、左足に体重が十分に乗り切らず、リリースポイントも微妙にばらついた。球の切れが奪われ、過去3度の登板で計15四死球と制球に苦しむ要因ともなった。そして導き出した答えが原点回帰。走者がいなくてもセットポジションでの投球だった。

 「三振を取りたい時に取れた。ゴロも多かったし、思った通りに投げられた」

 自分の意思とメカニックが合致したことで、本来の投球がよみがえる。3回無死満塁のピンチではグランダーソンを外角カーブで三振に仕留めると、ロドリゲスにはゴロ狙いでツーシームを続け、バットの芯を外して三ゴロ併殺打。5回のジーターの打席ではメジャー自己最速の97マイル(約156キロ)を記録した。6回にテシェイラのバットを真っ二つにするなどバットを5本もへし折り、メジャーで初の2桁10三振を奪った。また、この日は119球のうちストライクは82球を数え、四球も2つにとどめた。

 ダルビッシュの獲得にはヤ軍も動いたが、入札額はレ軍の5170万3411ドル(約42億円)に対し、ブライアン・キャッシュマンGMが「適正価格」と評した1500万ドル(約12億円)前後。自らの「価値」をこの日のマウンドで示した右腕は「ヤンキースを抑えてまだ完璧じゃないというのもあれなんですけど、まだまだ」。初完封は次の楽しみに取って置けばいい。

 ▼レンジャーズ・ワシントン監督 すさまじかったね。あまり振り回してこない相手打線から10三振も奪った。きょうのような投球を続けてくれれば、チームは特別なシーズンを過ごせそうだ。

 ▼レンジャーズ・マダックス投手コーチ 素晴らしい内容。3回の満塁のピンチをしのいだ後にはベンチで「好きだ!」と声をかけたよ。初球ストライクが課題だったが、うまく修正できたと思う。

 ▼レンジャーズ・ナポリ 全球種を織り交ぜて投げられた。このような試合内容をずっと待っていた。過去の3試合で土台をつくってきた成果も出た。内角の厳しいコースも突けたし、変化球では縦に割れるカーブとチェンジアップが効果的だった。

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