最速156キロ直球走った!ダル制球向上して“虎退治”

[ 2012年4月21日 06:00 ]

<タイガース・レンジャーズ>タイガース戦の6回、自らの暴投で、ボールを見失ったトレアルバ捕手のもとへ駆けだすレンジャーズのダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ10-3タイガース

(4月19日 デトロイト)
 メジャー最強の3、4番を斬った!レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)は19日(日本時間20日)、敵地でのタイガース戦に先発。メジャー自己最長の6回1/3を投げ、2安打1失点で2勝目を挙げた。2人合わせて通算512発のミゲル・カブレラ内野手(29)とプリンス・フィルダー内野手(27)を計5打数無安打。最速97マイル(約156キロ)を記録したフォーシームが走り、変化球も生きた。チームは7連勝。次回は24日(同25日)のヤンキース戦に先発する。

 心の底から望んだ力と力の勝負が、そこにはあった。初回1死一塁、カブレラに対し、5球続けての真っ向勝負は全て150キロを超えた。最後はスライダーで遊ゴロに打ち取る。続くフィルダーは内角カットボールで二ゴロ。バットは折れたような鈍い音をたてた。

 「2人とも凄くいい打者なので楽しめたし、いい経験ができた」。合わせて年俸4500万ドル(約37億円)の3、4番を5打数無安打1四球に抑え込んだ。6回、右飛に打ち取られたもののフェンス際まで運んだカブレラはマウンドを横切る際にひと言を発した。試合後、ダルビッシュは「日本食のレストランの名前を言われただけ」と笑ったが、グラウンド上での交流は好敵手として認められた証拠ともいえる。

 過去2試合との違い。それは「凄く良かった」と自賛したフォーシームの割合だ。初回は19球中15球。全体でも121球中、62球と半分以上を占めた。最速は97マイル。ロン・ワシントン監督も「スーパーファストボール!」と興奮気味に話した。不安定なツーシームは1球も使わなかった。

 速球が走れば変化球も生きる。特に120キロ台の縦のカーブが有効で、6回はフィルダーを空振り三振。5回からは制球を重視しノーワインドアップからセットポジションに変更。5四球を与えたものの、際どいコースを狙った結果だった。

 7回にも94マイル(約151キロ)を記録するなど、直球の威力は最後まで衰えなかった。体重は100キロ前後と昨年と変わらないが、ダルビッシュは「アスリートとしての動きのパワーは(昨年と)違う」と自信を見せる。ベンチプレスでは110キロを持ち上げる強じんな肉体。レ軍のホセ・バスケス・コンディショニングコーチも「下半身の筋力はチームトップクラス」と絶賛するほどだ。

 2試合連続で降板した5回2/3の壁を越え、7回途中まで投げたのは大きな前進。「一気に全てを完璧にはできないけど、感じたことを少しずつ自分でかみ砕きながら進歩できれば」。次戦24日のヤンキース戦で、また一つ成長の証をみせる。

 ▼レンジャーズ・トレアルバ(公式戦で初バッテリー)フォーシームが良かったから、一度もツーシームのサインを出す必要がなかった。彼はパワーピッチャー。速球を意識させたことで、鋭く曲がる変化球がはまった。

 ▼レンジャーズ・マイク・マダックス投手コーチ フォーシームを中心にいい投球だった。カブレラ、フィルダーに対しては打ち合わせ通りの攻め方ができた。課題は四球の多さ。次回までに修正しないといけない。

 ≪レンジャース史上初 先発陣が開幕9連勝≫レンジャーズの先発陣はこれで開幕から9連勝。球団史上初めてのことでア・リーグではロジャー・クレメンスらを擁し16連勝した03年のヤンキース以来となった。開幕13試合を消化しての11勝2敗は89年と並ぶ球団最高のスタートダッシュ。またシーズン最初の遠征を6連勝したのも、89年に並ぶ球団記録となった。

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2012年4月21日のニュース