イチ、ロビンソン魂 伝説の「42」背負い今季初V撃

[ 2012年4月17日 06:00 ]

<マリナーズ・アスレチックス>5回、背番号42のユニホームで勝ち越し二塁打を放つイチロー

ア・リーグ マリナーズ5―3アスレチックス

(4月15日 シアトル)
 マリナーズのイチロー外野手(38)が15日(日本時間16日)のアスレチックス戦で、背番号「42」を背負って躍動した。同点の5回に昨季から苦手なコースとなっていた内角高めの速球を右翼へ適時二塁打。3番打者として今季初の決勝打でチームを勝利に導いた。近代野球で黒人初の大リーガーを称える記念日「ジャッキー・ロビンソン・デー」で、日本人野手初のメジャーリーガーは6年連続のマルチ安打をマークした。

 鋭い腰の回転。次の瞬間、イチローのバットから放たれた打球は鋭いライナーとなって一塁手の頭上を越えた。同点の5回1死一、二塁。先発ゴッドフリーが内角高めに投じた140キロツーシームを叩いた。右翼への適時二塁打。3番打者として今季初の決勝打だ。

 「(この一打は)皆さんが大きいと思えば大きいでしょう。(3番の役割は果たせているかも)僕が判断することじゃない」。3点差を追い付かれた直後の一打で試合の流れを引き寄せ、チームを貯金1に導いても本人はそっけなかった。だが、エリク・ウェッジ監督は「大きな安打だ。きょうの適時打はまさに主軸にふさわしい素晴らしい仕事だった」と称えた。

 内角高めの速球を仕留めたことに意味がある。前日も1点リードの6回1死満塁の好機に、同様の球に力ない遊飛に倒れた。昨季から内角高めの速球は相手から「ウイークポイント」に挙げられてきた。ある大リーグのスカウトは「1番と違い3番打者はバッテリーが弱点を徹底的に突く」と語る。イチローからすれば、相手の攻め手をつぶすことは、3番打者として年間を戦うために不可欠なことだった。

 しかも右方向へ力で打ち返した。イチローは「(意図は)あるけど、お伝えすることはない」と言った。同じ安打でも、逆方向への技ありではなく、完全に捉えた一打なら、相手に与えるダメージは大きい。体重移動を抑え、体の回転で打球を叩く打撃フォームを模索するイチローにとっても手応えを得る適時打となったはずだ。

 近代野球で黒人選手初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンがデビューしたメモリアルデー。全30球団の選手が背番号「42」をつけプレー。日本人野手初のメジャーリーガーとして数々の記録を塗り替えてきたイチローにとっても特別な日。初回の左前打と合わせ、6年連続マルチ安打となった。

 ロビンソンも176試合で3番を務めた。3番の面白さについて「まだ分からない。あるのかどうかも分からない」と語った。だが、効果的な一打を重ねれば、イチローに新たな魅力が加わる。

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