さすがの球児 10回2死満塁で直球ズバッ!

[ 2012年4月13日 13:40 ]

<広・神>延長10回、サヨナラのピンチをしのぎ、岡崎(左)とホッとした表情を見せる藤川

セ・リーグ 阪神1-1広島

(4月12日 マツダ)
 最大の危機にも守護神の背中に悲壮感はみじんも感じられなかった。10回裏、チームに勝ちがなくなった状況で阪神・藤川がマウンドに上がった。引き分け死守を託されたが、2死一塁から苦戦した。

 代打・前田智、4番栗原に連打を浴びて瞬く間に満塁とされた。サヨナラ勝ちを期待するカープファンの声援が球場を揺らす中、藤川だけが落ち着いていた。パンチ力のある会沢を1ボール2ストライクと簡単に追い込むと、最後は146キロの直球で空振り三振に斬って取った。

 「負けなかったのでね。1本で(本塁に)還られる当たりもなかったし」。誰もが息をのんだ緊迫の1イニングを試合後の藤川は驚くほどに淡々とした表情で振り返った。

 歩みを止めない背番号22の姿を体現した。前日11日にはプロ野球史上5人目となる通算200セーブを達成。地道に積み重ねてきた大台にも「(200セーブは)チームの数字だと思ってやってきた」と立ち止まることなく前を向いていた。

 そこにやってきた連日の登板。先発の安藤から計4人が必死につないできたバトンを落とすわけにはいかなかった。投手キャプテンの自覚と意地がにじみ出た19球でチームは価値ある引き分けを手にした。和田監督も「後のピッチャーは苦しんだけど、良い引き分けだった」と大きくうなずいた。

 今季公式戦で初めてコンビを組んだ岡崎とは、サインが合わない場面もあったが「(岡崎は)これからですよ」と話したように年下の捕手をマウンドから“好リード”。正捕手の藤井彰が負傷離脱する状況で小宮山、岡崎の若手2人を投手キャプテンが引っ張っていく意気込みも見せた。

 「引き分けで終われて良かったね」。安堵(あんど)の言葉を口にしたが、その目は早くも次戦を見据えた。優勝だけを目指し、長いペナントを藤川は全力で駆け抜けていく。

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2012年4月13日のニュース