イチ ダルが「帽子を取ったら“大したことねえな”と思った」

[ 2012年4月11日 06:00 ]

<レンジャーズ・マリナーズ>初回、マリナーズ・イチローはダルビッシュから三塁後方への内野安打

ア・リーグ マリナーズ5―11レンジャーズ

(4月9日 アーリントン)
 一塁ベース上からマリナーズ・イチローはダルビッシュを見ていた。6回。自らの中前打で降板する右腕が淡々とベンチへ引き揚げる姿。そこにイチローはダルビッシュという人間を見ていた。

 「下がっていくときに帽子を取らなかった姿が凄く良かった。“この内容では”というプライドが見えましたから。あそこで帽子を取ったら“大したことねえな”と思ったかもしれないですが、ぐっと何か内に秘めているものがあったはず。それがきょう一番印象に残りましたね」

 イチロー自身も決して相手に心の内を悟られるような行動はとらない。悔しい打席、決勝打を放った塁上、どんな時もポーカーフェースでいる。「球がどうこうよりも、実はそういったところ(行動)に内面が見える」。一回り以上も年が違う右腕に共感を覚えた。

 09年WBCではチームメートとして世界一を手にした両雄の公式戦初対決。イチローは大リーグの一流打者のレベルを示すかのように安打を重ねた。初回1死一塁。この日最速96マイル(約154キロ)の直球を、あえて詰まらせ、三塁後方へ打球を落とす。2回は、ストライクを取りに来たツーシームを強振して、右越え二塁打。そして、降板に追い込んだ6回は中前へ運んだ。全方向に、異なる技で打ち分けた3安打。ダルビッシュが喫した大リーグ初安打、そしてデビュー戦の最後の打者もイチローだった。

 「ダルもやりづらいだろうし僕だってやりづらい」。イチローがメジャーデビューして全米を驚かせた01年。ダルビッシュは中学3年生だった。そこから日本No・1投手に上り詰め、自身と同じように「世界一」を目指して海を渡ってきた右腕の高い壁であり続けること。それこそ、イチローのモチベーションになる。

 「(初対戦で)比較の対象がないから、これをこの先の比較にするしかない。これから何十打席も重ねていかないと分からない。これで判断されても(との思いは)お互いでしょう」

 2人が紡ぎ出す物語は始まったばかり。レンジャーズ戦は5月下旬に6試合が組まれている。

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2012年4月11日のニュース