稲葉「何とかしようと」連日V打…中田の姿にグッと来た

[ 2012年4月8日 06:00 ]

<ロ・日>マウンド上で勝利を喜ぶ(右から)武田勝、稲葉ら日ハムナイン

パ・リーグ 日本ハム4-0ロッテ

(4月7日 QVC)
 大記録へ着々。日本ハム・稲葉篤紀外野手(39)が7日、0―0で迎えたロッテ戦の9回に均衡を破る左前適時打。2試合連続の勝利打点を挙げ、通算2000安打にあと23本とした。

 まるで如意棒だ。稲葉のバットがグイッと伸びた。0―0で迎えた9回1死満塁。唐川が外のボール気味に投じた136キロ直球を捉え、欲しかった1点が入った。

 「覚えてない。無我夢中で…。何とか食らいつこうと、何とかしようという思いでバットが届いたんじゃないかな」

 外角2球で簡単に追い込まれた3球目。さらに厳しいコースに来た直球を三遊間へ運んだ。「あの追い込まれ方で、あそこへ打てる。言葉が出ない」。栗山監督も唐川を沈めた芸術的な一打に脱帽したが、打席に入る前の稲葉は4番の姿に心を揺さぶられていた。

 無死一塁から送りバント失敗で流れを失いかけた直後、主将の田中が初球を左前打。ここで中田は唐川のスローカーブを見極め、四球を選んでガッツポーズを見せた。開幕から不振にあえぐ若き主砲が必死にもぎ取った四球。「賢介(田中)がつなぎ、翔(中田)が何とか四球を取って僕の中で何か感じるものがあった」。稲葉はその四球の重みをかみしめた。

 開幕24打席無安打の中田に、普段と変わらず接してきた。「5、6試合無安打なんてちっぽけなこと。この苦しみが大きくなってチームに返ってくればいい」。そう言って野手最年長の39歳は17歳年下の主砲を、ロッカー室でグラウンドでいじってきた。必ず4番で勝つときが来る――。そう信じるから、中田の四球を無駄にはできなかったのだ。2番から5番に変わって2試合連続となる決勝打。左対策で前日から組み替えた打線が右の唐川も攻略し、栗山監督は「技術を超えた心のつながり」と評した。

 2000安打にもあと23本。稲葉が積み重ねる一打一打が、チームの心をつないでいく。

 ▼日本ハム・中田(9回1死一、二塁から四球を選び)カーブをしっかりと見られたのが大きかった。それまでの打席でやられてたから。

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2012年4月8日のニュース