ブラゼル連発でもヒーロー譲る「きょうは安藤選手の日」

[ 2012年4月6日 06:00 ]

<ヤ・神>7回2死三塁、ブラゼルは右越え2ランを放つ

セ・リーグ 阪神3-1ヤクルト

(4月5日 神宮)
 気は優しくて力持ち。頼れるのは腕っぷしだけではない。阪神のブラゼルは試合後の心遣いでもスタンドの歓声を誘った。安藤と2人で指名されたヒーローインタビュー。「とにかくきょうは安藤選手の日だと思っています。大きな拍手を送ってもらいたい」。隣で泣きじゃくる右腕にマイクを渡し、自身は短い言葉を述べただけ。晴れ舞台を苦労人に譲り、ベンチ裏へ退く助っ人にも、惜しみない拍手が注がれた。

 沈黙を破ったのは5回1死。打線が無安打に抑えられていた石川の内角スライダーをなぎ払った。2試合連発となる右翼スタンド中段への先制2号ソロ。まだ止まらない。とどめとばかりに7回2死三塁。石川のシンカーを完璧に捉えると、右翼手はほとんど動けない。2打席連発の3号2ランが再び右翼中段へと突き刺さった。3安打に終わった打線の中で、全3打点を叩き出した。まだ5試合だが、リーグ本塁打単独トップに立った。

 捕手から一塁に回った右打者の城島と定位置を争う立場。それでも左腕・石川に対し、和田監督はブラゼルに5番・一塁を託した。期待に応えて余りある「ふた振り」で、再び貯金1へ浮上。6日からは今季初の甲子園で、宿敵・巨人を迎え撃つ。「きょうはきょうで終わり。その一瞬は楽しんだけどもう忘れて、しっかりプレーする」。前を向く大砲の背中がひときわ大きく、頼もしく映った。

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2012年4月6日のニュース