城島の活躍に燃えたブラゼル 球場一番乗りで見せたレギュラーへのこだわり

[ 2012年4月5日 09:34 ]

8回無死一塁、ブラゼルは中越え2ランを放つ

セ・リーグ 阪神5―5ヤクルト

(4月4日 神宮)
 決してギブアップはしなかった。阪神の背番号67のバットから放たれた美しい放物線が、逃げるツバメを見事に撃った。3点を追う8回だった。先頭の新井が中前打で出塁し、ブラゼルが打席にゆっくりと歩を進めた。その初球だった。増渕の134キロの直球を力の限り振り抜いた。

 「良いホームランだったし良い感触で打てたよ」。打球は勢いを失うことなくバックスクリーン左に突き刺さった。一気に1点差に迫る一発が打線を勢いづけ、同点劇への道を切り開いた。

 期する思いはあったはずだ。開幕カードの2戦目だった3月31日のDeNA戦(京セラドーム)で体調不良を訴えて途中交代。翌1日のスタメンには、キャンプから定位置を争っていた城島が座った。1度の欠場も命取りとなるスタメンを巡るガチンコバトル。守備でダイビングキャッチを決めるなど、チームのムードメーカーを務めるライバルの姿を目にし、再び闘争心に火が付いた。

 2日の神宮球場でのナイター練習では一番乗りで球場を訪れて体を動かし、全快をアピール。この日は名誉ばん回を狙ったスタメン復帰だった。2死で迎えた6回の第3打席ではバットを短く持って右前打。ホームランバッターがプライドを捨てて、ヒット1本を狙いにいった。

 試合後はほとんど取材陣に言葉を発することなく球場を後にした。そう、まだ戦いは始まったばかりだ。城島との定位置争いもこれからしばらく一進一退の攻防が続く。完全復活を遂げたB砲がレギュラー奪取へ猛進する。

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2012年4月5日のニュース