楽天 塩見で今季1勝!5戦連続の“雨男”がプロ初完封

[ 2012年4月4日 06:00 ]

<楽・ソ>お立ち台で「イヌワシのポーズ」を決める楽天の(左から)塩見、フェルナンデス、鉄平

パ・リーグ 楽天5-0ソフトバンク

(4月3日 Kスタ宮城)
 楽天・塩見貴洋投手(23)が3日、自身のプロ初完封を今季12球団完封一番乗りで果たした。昨年5月にプロ初登板勝利を挙げたソフトバンクを相手に今季初登板し速球で押す投球で散発4安打に抑え込んだ。2年目左腕の快投で、チームは開幕4戦目にして初白星。3月30日の開幕戦では同じ10年ドラフト1位の日本ハム・斎藤がプロ初完投勝利を飾っており、パ・リーグの若き怪腕に「2年目のジンクス」は関係ない。

 雨のKスタ宮城で笑顔が咲く。ゲームセットの瞬間、塩見が左手でグラブを勢い良く叩いた。2年目、25試合目での待望のプロ初完封。楽天の投手が12球団完封一番乗りを果たすのは球団史上初の快挙だ。

 「勝ちたい気持ちで臨んで、その結果で非常にうれしい。6連戦の最初で、勢いがつく投球ができたんじゃないかな」

 風速10メートル以上の強風に雨が降りしきる悪天候でも、腕は強く振った。初回2死一、三塁では5番・小久保をスライダーで空振り三振。6回までに小久保を3打席連続三振に抑え昨季日本一の強力打線を分断した。最速147キロの直球と「2週間前から練習した」という急造のツーシームが有効で、終わってみれば散発4安打。チーム内では「雨男」のキャラが定着しており「(オープン戦から)5試合連続の雨なので慣れました」と笑った。

 新人だった昨季は9勝(9敗)、防御率2・85。新人王は西武・牧田に譲った。課題はリーグワースト2位の被本塁打14。昨秋キャンプでは佐藤投手コーチから「強い球を投げろ」と厳命された。真価が問われる2年目。テーマは「軽い球質」の改善だった。

 今春キャンプ。ブルペンでは「“横の時間”を長くすれば強い球を投げられる」と自らに言い聞かせ、右足を上げて地面に着けるまでの時間を長くするように意識した。結果、スムーズな体重移動が生まれ投げ急ぎで右肩が開く悪癖も解消。この日はコースが甘くても、高めの直球に相手の打球は失速。27アウト中、12がフライアウト。2年目の進化を象徴していた。

 球団創設8年目で初の本拠地開幕。しかし、ロッテとの開幕3連戦にまさかの3連敗。今季は東日本大震災からの復興元年でもあり、塩見は「絶対に勝たなくてはいけない」と決意していた。そして、地元・仙台、東北のファンに待ちに待った初白星をプレゼント。星野監督も期待が大きい分「初完封?遅いね」と毒づきながら「よく腕が振れていた」と目を細めた。

 塩見の目標は同い年の田中とチームを引っ張ること。昨季19勝で沢村賞に輝いた右腕について「今は勝負にならない。でも目標にしている」と言う。岩隈のマリナーズ移籍で、チームから消えたダブルエースの称号。塩見が田中とともにチームを支える両輪となる。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ(塩見について)文句なし。直球がよかったし、右打者の内角も突けていた。1点を取られるまで代えようとは思わなかった。

 ≪ダブル好相性Kスタ&ソフト≫塩見(楽)が4安打完封勝利。自身通算10勝目になるが、完封勝利はプロ入り初めてだ。カード別の勝利数内訳はソフトバンク4勝、ロッテ3勝、西武、オリックス、日本ハム各1勝となっておりソフトバンク戦が最も多い。また、ソフトバンク戦の通算成績を球場別に分けるとKスタ宮城では15回1/3を無失点に抑えている。

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2012年4月4日のニュース