東北の悲願あと1勝!光星 初の甲子園制覇へ今年こそ

[ 2012年4月3日 06:00 ]

<光星学院・関東一>4回裏、田村(手前)の先制本塁打に沸く光星学院ベンチ

センバツ準決勝 光星学院6―1関東一

(4月2日 甲子園)
 さあ「白河の関」越えだ!準決勝2試合が行われ、第2試合で光星学院(青森)が今秋ドラフト候補・田村龍弘捕手(3年)の春夏甲子園通算2000本塁打となるメモリアル弾で4回に先制し関東一(東京)を6―1で下した。青森県勢の決勝進出はセンバツ史上初で、光星学院にとっては準優勝に終わった昨夏の甲子園に続く決勝。決勝の相手は夏2度の優勝を誇る大阪桐蔭。光星学院が勝てば東北勢は春夏を通じて初の甲子園制覇となる。決勝は3日、午後4時から行われる。
【試合結果 組み合わせ】

 東北の悲願にあと1勝と迫っても、気負いはなかった。宿舎に戻れば、いつも通りに夕食後に素振り。主将兼3番の田村は「興奮はない。自分たちの目標をつかむだけ」と話した。

 その田村の一撃で準決勝は先手を奪った。3回までわずか1安打。重苦しい雰囲気を打ち破るかのように、0―0の4回1死から真ん中高めに甘く入ったスライダーを左翼席中段に運んだ。135メートルの特大弾だった。

 「仲井(宗基)監督から甲子園で本塁打を打てないのは“練習が甘い”と言われ続けて、本塁打を打つためだけに練習してきた」。これが高校通算30本目ながら、甲子園では出場11試合目での初本塁打。目標を結実させ、思わず表情が緩んだ。3点リードで迎えた8回1死二、三塁からは、4番・北條が「田村が打ったら自分も、という気持ちになる」と、救援した関東一のエース・中村から中前に2点適時打を放ち勝負を決めた。

 今大会も4試合で計37安打27得点と強打は健在だ。その秘密は独特の練習法にある。地元・青森県八戸市の冬は、最高でも気温はマイナス5度か6度で、グラウンドの雪が解けるのは4月中旬。室内練習場は「小屋」と呼ばれ、ピッチングとティー打撃がようやくできるほどの面積。それでも指揮官は10年の就任以来、冬場に室内練習場で打撃投手を相手に通常はマウンドから本塁まで18・44メートルの距離を13メートルに近づけて打つ練習を導入。どんな剛速球にも振り負けないようにした。

 さらに就任当初は猛練習で体重が減少する選手が続出したことで、朝、夜の食事で白飯を丼3杯食べることを課した。その効果でチームの平均体重は5キロ増の71・7キロ。体をつくり上げた後は1日1000スイングをノルマとした。

 そして、選手が本当に目の色を変えたのはあの屈辱からだった。昨夏の決勝戦。日大三に0―11で大敗した。相手の打球の速さに、自分たちの未熟さを知った。以降は練習でも体勢が崩れるぐらいにフルスイング。今大会中も試合直前、試合後に500スイングする。新チームとなってからは昨秋の明治神宮大会を制し、目下、練習試合も合わせると35連勝。快進撃の背景には徹底した振り込みがあった。

 これまで春夏通じて過去8度も東北勢は決勝で涙をのんできた。仲井監督が「いつまでも“白河の関”と言われたくない」と言えば、田村も「(大阪桐蔭の)藤浪を打たないと本物じゃない。必ず歴史を塗り替えて、胸を張って帰りたい」

 復興元年の今春センバツ。光星学院が青森に、笑顔と一足早い春を届ける。

 ≪東北勢は過去決勝で8戦全敗≫東北勢は過去春に2度、夏に6度決勝進出しているが、69年夏の再試合を含め全て敗退。特に打線が本来の力を発揮できないケースが目立つが、今回の光星学院はどうか。

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2012年4月3日のニュース