藤岡 初登板初先発初勝利!ロッテ55年ぶり開幕3連勝

[ 2012年4月2日 06:00 ]

<楽・ロ>初登板初先発初勝利を挙げたロッテ先発の藤岡

パ・リーグ ロッテ4-2楽天

(4月1日 Kスタ宮城)
 ロッテの西村監督から熱い右手を差し出された藤岡は、22歳らしい爽やかな笑みを浮かべた。ウイニングボールを手に指揮官とガッチリ握手。7回2/3を4安打2失点、初登板で12球団の新人一番乗りの白星だ。チーム55年ぶりの開幕3連勝の立役者は、思い切り声を弾ませた。

  「凄くうれしい。初回に点を取ってくれて楽に投げられた。(開幕3連勝は)55年ぶりと分かっていた。記録を達成したいとマウンドに上がった」

 濃い雲に覆われてのデーゲーム。カクテル光線を一身に浴びて躍動した。プロ第1球は145キロの直球。聖沢を遊ゴロに打ち取りリズムに乗った。鋭いスライダー、緩いカーブを見せ、低めに直球を決めた。最速150キロ。捕手の里崎が「(球が)うなっていて捕るのに必死だった」と舌を巻く球威だった。7回を終え被安打2で111球。西本投手コーチに交代の意思を問われると「もう1回行きます」と続投を志願した。背番号18を背負う、将来のエース候補。強気に押す、力感あふれるマウンドだった。

 強さと柔らかさが融合した最高傑作だ。しなやかなフォームは、右足を踏み込んだ半身の体勢から、左手に握ったボールを打者になかなか見せない。左肩を最後まで体の奥に隠し、ギリギリで肩の左右を切り替える。そこから鋭い腕の振りで投げ込む。大腿部の周囲はチーム投手陣トップで競輪選手並みの65センチ。下半身に力を蓄えてリリースで一気に解放するため、大学時代、右足のスパイクの前歯は毎試合折れ曲がった。プロでは歯の枚数を増やすなど改良。この日も、思い切り踏み出した右足付近で赤土が勢いよくはじけた。

 55年ぶりの開幕3連勝。当時の毎日オリオンズは、開幕前に逝去した榎本喜八さんらの「ミサイル打線」が看板だった。西村監督は「あそこまでよく投げてくれた。開幕3連勝は私が生まれる前だね」と満面の笑みで話した。同じ新人の中後、益田も救援でフル回転した。昨季最下位に沈んだチームにとって希望の光。勝利の瞬間、上空は晴れ渡っていた。

 ◆藤岡 貴裕(ふじおか・たかひろ)1989年(平元)7月17日、群馬県生まれの22歳。桐生一では2年夏、3年春に甲子園出場。東洋大では3年春にMVPに輝くなど、リーグ戦通算27勝9敗、防御率1.32。11年ドラフト1位でロッテ入団。1メートル83、85キロ。左投げ左打ち。

 ☆ロッテの1957年の開幕3連勝 毎日オリオンズ時代で、3月30、31日(31日はダブルヘッダー)に西鉄と平和台で対戦。30日は植村が2安打完投。葛城の3ランも飛び出し5―1で快勝。31日のダブルヘッダー第1戦は荒巻が5安打完投で4―1、2試合目は4投手の継投で4―3と接戦を制した。この年の毎日は最終的に3位でシーズン終了。オフに大映と統合合併し、大毎オリオンズに改称した。

 ▼植村義信氏(57年に3連勝した際の開幕投手。史上最少投球数の71球で西鉄に1失点完投勝利)当時の私も藤岡君と同じ18番を背負って投げていた。何かの縁を感じますね。あれから55年ですか。当時の西鉄は強かったので3連勝したことを忘れていた。

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