イチ 悔し4タコも…超美技で日本ファン沸かせた

[ 2012年3月30日 06:00 ]

<アスレチックス・マリナーズ>5回無死、スズキの右飛をジャンピングキャッチするイチロー

ア・リーグ マリナーズ1-4アスレチックス

(3月29日 東京ドーム)
 マリナーズのイチロー外野手(38)は29日、アスレチックスとの第2戦に3番・右翼で出場したが、4打数無安打。チームも逆転負けし、1勝1敗で日本での開幕シリーズを終えた。前日は自身初の開幕戦4安打を放つなど、親善試合を含む4試合で日本のファンを魅了した背番号51。母国凱旋を終え、4月6日(日本時間7日)のア軍との米本土開幕戦、そして9日(同10日)のレンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)との対決へと向かう。
【試合結果】

 終わらせたくない。4万3391人の観衆と共有した思いは、空回りした。3点を追う9回1死からの第4打席。スタンドから無数のカメラフラッシュを浴びたイチローのバットは、バルフォアの直球に差し込まれ、力ない一ゴロ。開幕シリーズ最後の打席は幕を閉じた。

 メジャー12年目にして、初の日本での開幕。その大一番で4安打を放った新3番打者が、一転して沈黙した。都内のジムで川崎とともに汗を流し、準備万端で球場入りしたはずが、メジャー通算161勝右腕のコローンに翻ろうされた。4回2死は、まさかの見逃し3球三振に、スタントからは大きなため息も漏れた。

 それでも守備では魅せた。5回無死、スズキの右中間深部への飛球を追い、フェンス際で跳び上がってグラブに収めた。「きょうは、あれくらいしかない。ないよりは、いいです」と振り返ったが、観客はそのサーカスプレーにどよめいた。そこはイチローも計算のうち。飛んでこいというのはあったか、という質問に「あるある。際どいところに(飛んで)きてほしいってのはある」と目を輝かせた。

 「特別な日」と位置付けた日本での開幕2試合は、9打数4安打の1打点。1勝1敗で終えた結果に満足はしていない。ただ、背番号51に送られ続けた拍手と声援は、シーズンを戦う男のエネルギーになった。

 息つく暇もなく、アメリカ本土での開幕に備える。4月9日(日本時間同10日)には、全米も注目するレンジャーズ・ダルビッシュとの夢対決も控える。球場からの帰路。紺色のハットに、Tシャツ、ベージュのジャケットという、ラフな姿に着替えたイチロー。その視線は、もう次の戦いを見据えていた。

 ▼マ軍エリク・ウェッジ監督 継投のタイミングは良かったと思うが、救援陣が投げるべきコースに投げきれなかった。震災の支援も含めて、特別な日本遠征だった。

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2012年3月30日のニュース