マー君 男の約束勝つ!開幕2日前に被災地訪問で誓う

[ 2012年3月29日 06:00 ]

被災地の小学生といっしょにラジオ体操をする楽天・田中

 マー君の訪問に笑顔の花が咲いた。楽天・田中将大投手(23)が28日、開幕1軍メンバーとともに東日本大震災の被災地である宮城県名取市の不二が丘小学校を訪問。閖上(ゆりあげ)地区で被災した子供たちを含め、228人の小学生と交流した。開幕2日前の被災地訪問であらためてシーズンでの奮闘を誓った右腕。プロ6年目で初の開幕投手を務める30日のロッテ戦(Kスタ宮城)では、今度は自身の快投で子供たちを笑顔にする。

 田中の思いは、大歓声で迎えられた。選手バスが到着すると不二が丘小149人、津波で大打撃を受けた閖上小79人の合計228人の子供たちは大はしゃぎだ。長期遠征を25日に終え、選手会の強い希望で実現した訪問。開幕2日前の強行軍でも足を運ばずにいられなかった。

 「喜んでもらえて良かった。楽しかったです」

 笑顔を届けるために、子供たちと真剣に遊んだ。キャッチボールでは相手の体格に合わせて優しく投げ、籠を背負った選手が標的となって移動する玉入れでは籠を担当。大興奮の小学生から全力投球で玉をぶつけられ、ビシッと返球すると相手はさらに大喜び。最終種目のハンデ付きリレーではアンカーを務めたが、勝利目前で司会の選手会長・嶋が「空気読んで!」とマイクで注文。スピードを緩めて子供たちに花を持たせた。

 無邪気な笑顔にパワーをもらい、訪問後はKスタ宮城に戻りナイター練習に参加した。気温は10度と寒さも和らぎ「思ったより暖かかった。ナイターで練習すると、こういう感じで試合をやってるのかなと思っていました」。開幕投手を務める30日のロッテ戦(Kスタ宮城)に向けて試運転。投球2日前のブルペンで47球を投げ「まずまずです」と話した。

 訪問の締めくくりでは、閖上小を卒業したばかりの大橋泰貴(だいき)くんが代表あいさつ。「開幕戦に行くので絶対勝ってください」――。津波で自宅を流され、現在は仙台市内に引っ越しを余儀なくされた12歳の言葉は選手、そして田中の心に響いた。選手会主導の訪問のため、あえて参加しなかった星野監督は「子供の笑顔は勇気、元気になる。今度は勝ってから行かんといけない」。昨季は震災で実現できなかったKスタ宮城での開幕。強さを見せることが被災地への力になる。田中はそう信じて開幕戦のマウンドに立つ。

 ≪田中と復興支援≫

 ☆募金活動 昨年4月2日に日本ハムと慈善試合。試合前の札幌ドームでの募金活動では、斎藤と並んで1つの募金箱を一緒に持った。また、神戸や博多など各地で義援金を呼び掛け。

 ☆寄付 楽天の全選手が年俸の一部を義援金として、総額1000万円以上を寄付。加えて、田中は昨季受賞した沢村賞の賞金300万円を宮城・南三陸町に個人的に寄付した。

 ☆避難所慰問 昨季の開幕直前の4月7、8日に宮城県内の避難所を訪問。田中は嶋、青山ら9選手と東松島市の大曲小学校を訪れ、サインや写真撮影などで激励。滞在は1時間で「逆に元気をもらった」。

 ☆支援試合登板 今月10日の台湾代表戦に、背番号18を背負う日本代表のエースとして登板。2回を35球、ソロ本塁打含む2安打1失点の内容に「僕たちは東北に本拠を置くので強い思いがあった」と話した。

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