15人から11奪三振 ダル紅白戦で圧巻投球

[ 2012年3月27日 06:00 ]

5回裏にチームメートが同点に追いつき、ガッツポーズで喜ぶダルビッシュ

紅白戦

(3月25日 サプライズ)
 まさに圧巻、15分の11!レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が25日(日本時間26日)、サプライズで行われた紅白戦に先発。6安打4失点も、5回を投げてアウト15個のうち11個を三振で奪った。さまざまな試投も織り交ぜながら、アウトに占める三振率は73%という奪三振ショー。さらなる手応えをつかみ、次戦は初めての中4日で30日(同31日)のロッキーズ戦に先発する。

 86球目。ダルビッシュの流れるようなフォームから繰り出されたカットボールに、ロビンソンのバットは簡単に空を切った。約500人の観客は拍手喝采。「Good Job!YU!」。5回2死。最後も三振で締めくくると、右腕は涼しい顔でベンチへと戻った。

 「若くていい選手が多くて、投げるのが楽しみだった。4点取られたけど、安打の打たれ方や投げた球を見ても、悪い感じはしなかった」。同地区の宿敵エンゼルス戦を「戦力隠し」のために回避し、用意された特例の紅白戦だった。練習グラウンドではなく本球場を使用。スコアボードを点灯させ、場内には音楽も流された。ダルビッシュのためだけの演出。徹底してオープン戦と同じ雰囲気づくりがなされた。

 「今は自分の調整が優先。相手がどこでも気にはならない」。三振、また三振。自チームの若手マイナー選手にも容赦はしなかった。直球は最速96マイル(約154キロ)。さらに効果的だったのが、自ら「パワーカーブ」と呼んだボールだ。110キロ前後の緩い球と、一度浮き上がって落ちる120キロ台後半の2種類。この日は捕手トレアルバが速いカーブを選択し、その球種だけで6三振を奪った。ダルビッシュも「三振もいっぱい取れた。パワーカーブが凄く良かった」。アウト15個のうち11三振。その割合は驚異の73%に達した。

 4回に集中打を浴び5回6安打4失点。それでも試すことは十分に試した。打者が直球系に球種を絞っていても、制球力向上とフォーム固めのためにあえて投げ続けた。投手コーチの指示で、状況別のツーシームの使い方にも着手。失点した4回には、投球時に右手中指を裂傷。血も出てマウンド上でも何度か気にするしぐさを見せたが、黙々と投げ続けた。

 次戦は30日のロッキーズ戦。キャンプ地アリゾナでラスト登板だ。ロン・ワシントン監督は「まだ決めていない」と明言を避けたが、公式戦デビューは4月8日(同9日)のホワイトソックス戦か、9日(同10日)のマリナーズ戦となる。「(課題は)自分の動きたいような体をつくること。少しずつ(理想に)近づいている」。もっと三振を、もっと凄い投球を見たい。そう思わせる男こそが、ダルビッシュだ。

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2012年3月27日のニュース