石巻工 選手宣誓文を石碑に 松本監督が構想明かす

[ 2012年3月25日 06:00 ]

感動を呼んだ石巻工・阿部主将の選手宣誓

 石巻工(宮城)の阿部翔人主将(3年)による選手宣誓文を、石碑として残す計画があることが分かった。22日の1回戦で強豪・神村学園(鹿児島)に善戦しながら5―9で敗戦したナインは、24日に宮城県石巻市に帰郷。松本嘉次監督は「石碑に残したい。いい宣誓だったからね」と話し、学校関係者に働きかける意向を明かした。

 石巻工は東日本大震災でグラウンドが水没するなど甚大な被害を受けながら、昨秋の宮城大会で準優勝して21世紀枠で春夏通じて初めて甲子園に出場。阿部主将の被災地や全国に向けた「日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を」の選手宣誓は大きな反響を呼んだ。甲子園出場記念の石碑や高田高校(岩手)のように故阿久悠氏が本紙連載「甲子園の詩」で取り上げた学校が歌碑として残した例はあるが、宣誓文は極めて異例。実現すれば「あきらめない街・石巻!その力に俺たちはなる!」の横断幕とともに石巻市の復興のシンボルとなりそうだ。

 26日から夏の甲子園出場を目指して練習を再開する。阿部は「あっという間だったけど、幸せなひとときを過ごせた。また夏に帰ってきたい」と2季連続の甲子園出場を誓った。

 ◆選手宣誓全文

 東日本大震災から1年、日本は復興の真っ最中です。被災された方々の中には、苦しくて、心の整理がつかず、今も当時の事や亡くなられた方を忘れられず、悲しみに暮れている方がたくさんいます。人は誰でも答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。しかし、日本がひとつになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ、日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう、日本の底力、絆を。われわれ、高校球児ができること、それは全力で戦い抜き、最後まで諦めないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。

選手代表 宮城県石巻工野球部主将 阿部翔人

 ★阿久悠氏「甲子園の詩」歌碑 都雪谷(東京)、波佐見(長崎)などが建立した。高田高校では東日本大震災の大津波で校舎は壊滅したが、歌碑だけは無傷で残り、本紙連載「復興へのプレーボール」開始のきっかけのひとつとなった。

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2012年3月25日のニュース