仙台出身の斎藤 マウンドで黙とう「野球にしかできないことがある」

[ 2012年3月11日 16:43 ]

マリナーズ戦の登板前、マウンドで東日本大震災の犠牲者を悼み黙とうをささげるダイヤモンドバックス・斎藤

オープン戦 ダイヤモンドバックス1―7マリナーズ

(3月10日)
 ダイヤモンドバックスの斎藤は10日、アリゾナ州スコッツデールでのマリナーズ戦で4回から2番手で1回を投げ無安打無失点だった。

 登板前のマウンド上でセンター方向を向き、帽子を胸に当てた。時間にして数秒。震災から1年。仙台市出身のダイヤモンドバックスの斎藤は「試合に差し支えないように」と気を配りながら、そっと黙とうをささげた。

 「いろいろな思い」が詰まった4回のマウンドはほとんどが直球だった。2死から四球を与えてここまで2安打だった川崎を迎えたが、左飛に仕留めて1回を無失点。「いい球を投げられた。問題ない」と息をついた。

 震災の被害の重さを理解する右腕は「地震と野球を結びつけて話すのは難しい。語るには傷が深過ぎる」といつも言葉を選ぶ。宮城・東北高時代の同級生には津波の被害に遭ったり、原発事故の影響でいまだ実家に帰れない被災者がいるという。「釜石の役場で働いている同級生は一晩中泣きながら話してくれた」と惨状を直接耳にしたこともある。

 それでも42歳のベテランは「野球にしかできないことがある。一球一球を精いっぱい投げることが何かにつながれば」と信念を持つ。遠い地で、思いを込めて投げ続ける。(共同)

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2012年3月11日のニュース