ダル燃えた!いきなり自己最速タイ156キロ出た

[ 2012年3月9日 06:00 ]

<パドレス・レンジャーズ>初回、クエンティンを空振り三振に仕留めるレンジャーズ・ダルビッシュ

オープン戦 レンジャーズ6―2パドレス

(3月7日 ピオリア)
 もう出た156キロ!レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が7日(日本時間8日)、パドレス戦でオープン戦初登板。いきなり自己最速タイの156キロをマークするなど2回を2安打無失点に抑え3三振を奪った。7色の球種を操る右腕は、スプリット、スライダーなどをちりばめた配球で相手を翻弄(ほんろう)。好守と合わせて総合力の高さを見せつけた。150人以上の報道陣が集結した中で堂々のデビュー。ダル狂騒曲はヒートアップする一方だ。

 闘争本能が一気に燃え上がった。初回2死二塁。打席に4年連続20本塁打以上のクエンティンを迎えた。2ボール2ストライクからの5球目だ。ダルビッシュはスプリットのサインに首を振り、選んだのは最も手応えのあった縦のスライダー。一度浮き上がるような軌道からグッと落ちたボールに、大砲のバットは簡単に空を切った。

 「(戦う)気持ちはだいぶいい感じになった。敵チームに投げられたのが収穫。真っすぐが良かったし、何よりスライダーのコントロールが良かった」。報道陣は日米150人超。89年にノーラン・ライアン(現球団社長)が移籍した際を上回る大フィーバーだ。破格の注目の中、久々に「敵」相手の登板。アドレナリンは全開だった。初回、先頭メイビンの4球目。いきなり自己最速に並ぶ156キロも記録した。

 「(緊張は)全然です。僕は全然緊張しないよって言っても、(チームメートに)“おまえは緊張している”って決めつけられる感じで言われた」。前回の紅白戦までのワインドアップではなく、全てがセットポジションでの投球。本人は「気分ですね」としたが、昨季まで慣れ親しんだ形だ。紅白戦では打者4人のうち3人が3ボール。この日は3ボールは一度もなく、一気に制球が安定した。有利なカウントから、持てる能力を存分に相手にぶつけていった。

 米球界でも話題沸騰の7色の球種。一番の強みはそれを自在に操り、試合ごとに取捨選択できる点だ。この日は投球練習でチェンジアップが不調と感じるや、落ちる球種はスプリットを本線に。「凄くいい逆風が(三塁後方から一塁方向へ)吹いていた」と、要所ではスライダーも風に乗せた。この日も7つの球種を投げたが、日本ハム時代はワンシームも武器に。マイク・マダックス投手コーチは「ワンシームは見たことがない。ファイブシームならある」と、冗談交じりに右腕の底なしの能力を評した。

 2回1死三塁では、頭上高くバウンドした打球をジャンプして軽々とキャッチ。試合後、守備について聞かれると「今、フィールディングに対する質問はないかと思ったけど、ちょうど来た。凄い良かった」と笑顔で返した。充実感あふれる表情に自信がにじむ。「お互い練習段階。勝負という段階にないと思う。(力と力の勝負は)シーズンに入ってから」。お楽しみは、まだまだこれから。その顔には確かにそう書いてあった。

 ◆ダルビッシュと球速 日本ハム時代にマークした日本球界での最速は156キロ。昨年8月6日の楽天戦(Kスタ宮城)の6回に記録すると同19日のオリックス戦(札幌ドーム)、同25日の楽天戦(同)と連発した。09年WBCの韓国との決勝戦では100マイル(約161キロ)をマークしたことも。

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2012年3月9日のニュース