中島“謝罪”の一発!出戻りチームへの思い乗せた

[ 2012年3月5日 06:00 ]

<巨・西>初回1死二塁、ホールトンから先制2ランを放つ西武・中島

オープン戦 西武4-0巨人

(3月4日 東京D)
 獅子の一員としてのアーチだ!西武・中島裕之内野手(29)が4日、巨人とのオープン戦で初回に先制2ランを放った。オフにポスティング・システム(入札制度)を利用してメジャー移籍を目指したが、独占交渉権を得たヤンキースとの交渉が決裂。西武に残留する形になった。出戻りの一発で存在感を示した中島はメジャーへの思いを一時封印。チームを4年ぶりの日本一に導くことに全力を注ぎ込む。

 出戻り1号。中島らしい鋭いライナーだった。初回1死二塁。ホールトンの外角高めの直球を捉えた打球は、勢いを失うことなく左中間席に吸い込まれた。「ある程度、外寄りに狙いを絞って手を出そうかなと。ミスショットしないように心掛けた」。ベンチに戻ると、昨季までと同じようにチームメートと笑顔でハイタッチを交わした。

 本来なら、今頃は米フロリダ州タンパでキャンプ中のはずだった。オフに入札制度を申請。名門ヤンキースに落札されたが、交渉が決裂した。複雑な心境のまま、もう一度着ることになった西武のユニホーム。ヤ軍との破談を聞いた中島が最初に抱いた感情は怒りでも、悔しさでもなかった。「快く送り出してくれたチームに申し訳ない。どんな顔で戻ればいいのか…」。近い関係者に吐露したのは「謝罪」の気持ちだった。ナインの誰もが夢を後押ししてくれ、一方で自身が抜けたケースを想定した補強は終了。そんな中で再びチームに戻ることに、申し訳ない思いばかりが募った。

 渡米してわずか30分で交渉が決裂したため、中島は数日間ニューヨークを観光した。しかし、ヤンキースタジアムに足を運ぶことはなかった。夢は一時封印して、チームに恩返しを――。あえて憧れの舞台を目にすることなく帰国したのは、強い決意の表れだった。

 開幕まで1カ月を切って調整も最終段階。春季キャンプでは、タイミングを合わせてインパクトの瞬間にだけ集中するスイングを繰り返してきた。2月中の紅白戦や練習試合でもバットを振り抜くことはなかったが、現在は「この時期はいい投手が出てくる。直球のスピードに慣れたり、ちゃんとスイングできるかを意識しています」と本番モードに近づいている。

 やっぱり中島には、昨季までの定位置「3番・遊撃」が似合う。勝負強さも変わらない。迷いは捨てた。メジャーへの熱い思いは、日本一を成し遂げてから再び思い出せばいい。

 ≪中島のオフの動き≫

 ▼11年11月23日 西武ドームでファンフェスタに参加。ファンに向けて「もし機会があれば、また応援してください。11年間の経験を自信にしたい」とあいさつ。ナインからのサプライズ胴上げに感激。

 ▼同28日 入札制度の申請書類をNPBに送付。

 ▼12月5日 西武が入札額の受け入れを発表。

 ▼同8日 最高入札球団がヤンキースに決定。

 ▼12年1月6日(米国時間5日) 入札制度で独占交渉権を得たヤンキースとの交渉が決裂。西武への残留が決定。

 ▼同11日 西武ドーム内で契約交渉。現状維持の年俸2億8000万円プラス出来高(金額は推定)でサイン。

 ▼同28日 所沢市内で春季キャンプ出陣式に参加。ファン3560人を前に「結局、戻ってきました」と苦笑いであいさつ。

 ▼2月1日 宮崎・南郷でキャンプイン。「一からここでやろう、という気持ち」と笑顔。

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2012年3月5日のニュース