ダル20勝いける!ライアン社長太鼓判「完成されている」

[ 2012年2月24日 06:00 ]

キャンプイン!!ユニホーム姿でグラウンドに現れたレンジャーズ・ダルビッシュ

 ダル、キャンプイン!レンジャーズのダルビッシュ有投手(25)が23日(日本時間24日未明)、移籍1年目の春季キャンプをスタートさせた。前日にはノーラン・ライアン球団社長(65)が今季の活躍に太鼓判。25歳で19勝を挙げた72年の自身より完成された投手と激賞された。「ライアン超え」なら日本人投手初のシーズン20勝も視界に入ってくる。入札金も含め約1億1000万ドル(約88億円)の男のメジャー元年がいよいよ幕を開けた。

 メジャーの歴史に名を刻む大投手の言葉には、説得力と重みがあった。クラブハウス横に設置されたテント型の室内会見場。日米約80人の報道陣を前に、メジャー1位の5714奪三振記録を誇るライアン社長は時折目を見開きながら約20分間、ダルビッシュの能力の高さ、期待の大きさを雄弁に語り尽くした。

 ライアン社長 自身の25歳時と比較すると、(ダルビッシュとは)力にかなりの差がある。自分はスタミナはあったが、制球難でフォームは固まっていなかったし、持ち球への自信もなかった。彼は逆にフォームも固まっていて制球も良く球種も操れている。この年齢で大変な技量を持った投手だ。完成されている。

 まさに最大級の賛辞だ。同社長が25歳だった72年は、自身初めて200イニング以上(284回)を投げ19勝。伝説の投手として殻を破った年だった。それでも「まだ伸びしろがたくさんある」とダルビッシュの方が格上と力説。課題に「打者を学ぶ」「中4日の登板間隔」「ボール、環境への適応」を掲げたが、心配無用とも断言した。日本人のシーズン最多勝利は08年のレッドソックス・松坂の18勝だが、「25歳時のライアン以上」なら20勝の壁を乗り越えることは決して夢ではない。

 同社長による絶対的な評価。キャンプインを前に、早くもチームに溶け込んでいる姿を見ているのも大きい。合流して2日。ダルビッシュはほとんどジョー・古河通訳を介さず、直接コーチや選手と英語で会話をしている。この日もマイク・マダックス投手コーチ、守護神ネーサンらと談笑。帰り際には関係者に「See you tomorrow(またあした)」と流ちょうな英語も披露した。そこには過去の日本人選手が苦労した言葉の壁はない。両親が米国で知り合い国際結婚。4歳頃まで家庭での会話は全て英語だった。「聞くことは大丈夫。1、2カ月くらい(米国に)いたら、しゃべれるようになる感じはする」と話していた通り、こちらは軽々と壁をクリアしている。

 この日は左右両方でのキャッチボールやダッシュなどで調整。キャンプ初日は投球練習後、フリー打撃で打者相手に20球ほど投げる予定だ。「早く投げるところが見たい」と同社長。記念すべき初日は、日本人が成し得ていない壁を乗り越える伝説への第一歩になる。

 ◆ライアン氏の25歳シーズン 66年のメジャーデビューから7年目の72年、エンゼルスの先発3番手で開幕。当時の主力で、巨人でもプレーしたクライド・ライトらを上回るチーム最多の19勝(16敗)を挙げた。初の球宴出場を果たし、両リーグ最多の329奪三振で初タイトル。同タイの9完封も記録した一方で157四球、18暴投は両リーグワーストだった。チームはア・リーグ西地区6球団中5位。

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