隠れ守備名人 DeNA 藤田 白井コーチ「見てきた中でもトップレベル」

[ 2012年2月16日 12:07 ]

球場のフェンスのボールを当て捕球練習を繰り返す藤田

 DeNA・藤田一也内野手(29)は隠れた守備の達人だ。昨年は二塁、三塁、遊撃を守り、計241の守備機会でシーズン無失策を記録。二塁の守備率・993は1000回以上の守備機会を満たす現役選手で最高の数字だ。プロ7年間で一度も規定打席に到達したことはない。体も硬く強肩ともいえないが、考える力と創意工夫で守備職人の地位を築いた。

 低い弾道の球が行き交うキャッチボール。だが、藤田は違う。試合での捕球体勢を想定。上から、横からとさまざまな腕の角度から山なりの緩い球を投げる。時折、なかなか落下しない球を空高く投げることも。「指のかかり具合をチェックしている。強い球ばかり投げると指先のリリースポイントの感覚がつかめない」。安定した送球は山なりキャッチボールが礎だ。

 卓越したグラブさばきは軟式野球で培ったもの。中学から硬式に転向する仲間が多い中、1メートル50台と小柄で非力だった藤田は、父・茂男さん(57)の勧めで鳴門二中でも軟式を続けた。「軟球はバウンドが硬球よりも不規則で難しい。毎日壁当てをしていた」。プロ入り後もキャンプ前の自主トレでは毎日30分の壁当ては欠かさない。

 昨季は内野の3ポジションで無失策。今季は首脳陣の構想で遊撃が中心となる。白井内野守備走塁コーチは「身のこなしも柔らかくて無駄がない。捕ってから速い。何十年、この世界を見てきた中でもトップレベル」と評価する。

 藤田が意外な事実を口にした。「僕、体が凄く硬いんです。だからいかに柔らかく見せるか。肩も強くないからいかに素早く球を離すか。包み込むように捕って打球の勢いを利用して送球する」。ハンデも悟られない創意工夫。「ハマの牛若丸」は定位置奪取で努力を結実させる。

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