十亀 衝撃デビュー!渡辺監督「あの球は打てないわ」

[ 2012年2月12日 06:00 ]

シート打撃でシュートを投げる西武・十亀。打者10人で6奪三振の好投

 笑顔を抑えきれない西武・渡辺監督の表情が全てを物語っていた。バックネット裏でドラフト1位・十亀(JR東日本)の投球を見守っていた指揮官が、スコアラーに慌てて球速を確認する。外角へ逃げながら鋭く落ちるシュートは137キロを計測。秋山のバットをぴくりとも動かさず見逃し三振に仕留めた1球に「あの球は打てないわ」と思わずうなった。

 それほど衝撃的だった。カウント1ボール1ストライクからの設定で行われた初のシート打撃登板はいきなり5連続三振でスタート。後半の打者5人も完璧に抑え、無安打で6三振を奪った。直球は最速147キロを計測し、最大球速差43キロのカーブも光った。しかし、何よりも際だったのがシュートだ。「社会人の時と球が違って、思ったよりも動いてくれた。左打者にシュートを使えたことが収穫」。秋山、熊代、上本と3人の左打者から三振を奪った。外角へ落とすだけでなく、内角のボールゾーンからストライクゾーンにも変化。縫い目の高い統一球により威力は倍増し、社会人時代は使っていなかった左打者への効果を実感した。

 入団当初から持ち味と強調してきた球種。習得したのは2年前だが「内角を攻めるのが自分のスタイル」。サイドスローから投げ込む姿は日大の先輩・館山(ヤクルト)をほうふつさせ、シュートを武器とするスタイルも似ている。最終的な目標は「150キロのシュートを投げること。直球もシュートも150キロなら打者は打ちづらいはず」と言い切った。

 開幕ローテーションを狙う右腕に渡辺監督は「鮮烈デビューだったね」と興奮気味。見逃し三振を喫した秋山も「球速があるし変化も大きい」と驚いた。チームメートの度肝を抜いた高速シュート。今度は他球団に衝撃を走らせる。

 ▼楽天・山口スコアラー 球速があってコントロールも安定している。コントロールは(同タイプの)ヤクルトの館山以上。どの球種をとっても一流だと思う。

 ◆十亀 剣(とがめ・けん)1987年(昭62)11月7日、愛知県生まれの24歳。愛工大名電でサイドスローに転向。3年センバツで優勝し、夏も甲子園出場。日大では2部通算30試合で7勝7敗。1部では通算21試合で勝利なし。JR東日本を経て、昨秋ドラフト1位で西武に入団。1メートル83、82キロ。右投げ右打ち。

 ◇シュートを武器に活躍した主な投手

 ☆平松政次(大洋) 「カミソリ」と呼ばれた切れ味鋭いシュートを武器に巨人戦で金田正一(65勝)に次ぐ歴代2位の51勝を挙げて巨人キラーと呼ばれた。通算201勝196敗16セーブ。防御率3.31。

 ☆東尾修(西武) シュートで右打者の内角をえぐり、スライダーを効果的に使う投球スタイルは「ケンカ投法」と呼ばれた。与死球165は歴代1位。通算251勝247敗23セーブ。防御率3.50。

 ☆西本聖(巨人―中日―オリックス―巨人) ドラフト外での入団もシュートを多投する投球スタイルで、江川とともにエースとして一時代を築いた。通算165勝128敗17セーブ。防御率3.20。

 ☆黒田博樹(広島―ドジャース―ヤンキース) 05年にシュートを覚え、15勝で最多勝を獲得。08年にドジャースに移籍し、通算355勝のマダックスからフロントドア(左打者の内角ボールゾーンからシュート回転で入れる球)を習得。日米通算144勝135敗1セーブ。防御率3.36。

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