恩人・栗山監督の「力になりたい」多田野がローテ入り猛アピール

[ 2012年2月5日 14:53 ]

投内連係をこなす多田野

 日本ハムの沖縄・名護キャンプ4日目の4日、元メジャーリーガーの多田野数人投手(31)が2度目のブルペン入りし、今キャンプチーム最多となる169球を投げ込んだ。昨年は19試合の登板で0勝1ホールドに終わった右腕。制限時間を40分もオーバーする熱投に、見守った栗山英樹監督(50)は先発ローテーション5番目の枠へ入る可能性を示した。

 ブルペンに響く音が止まらない。最初の組の他の4人が規定の15分間で投球を終了。2組目に入っても多田野はひたすら黙々と投げ続けた。

 「このクールで球数を投げられるのは、きょうしかなかったので。監督に自分の投球スタイルを見せようと思った。納得のできる投球でした」

 今キャンプチーム最多となる169球。規定を40分もオーバーして吉井投手コーチに怒られてしまったが、栗山監督へ思いを伝えるには十分な球数だった。「一番の目標は先発枠に入ること。それが駄目でもチームが必要とされるところで力を出したい。苦しいときに支えてくれた監督の力になりたいんです」。メジャー時代「BPファストボール(打撃投手が投げるような速球)」と呼ばれた腕の振りを遅くした110キロ前後の直球も含めた全球種を投げ、腕を振ってしっかり低めへコントロール。運命を感じるから力が入った。

 多田野がインディアンス入りした03年、スポーツキャスターとして取材にきた栗山監督が食事に誘ってくれた。中華料理店で「何でも食べていいぞ」。毎日ハンバーガーのマイナー生活で涙が出るほどうれしかった。ちょうど1Aから2Aに昇格し、連続無失点を継続中。その食事の翌日に本塁打を打たれて連続無失点が28イニングで止まった。「あの食事が打たれるきっかけになって申し訳なかったなあ、と懐かしく思い出しながら見ていた」という指揮官は「今の状態を維持していけば先発の5、6番目を任せられる」と評価した。

 オフに米アリゾナ州のトレーニング施設で自主トレした成果で、体脂肪率10・8%で体重は6キロ増の84キロ。「去年より体が大きくなったな」。栗山監督のその言葉に「見ててくれる」とまた胸を熱くした多田野。登板予定の9日の紅白戦でも全力でアピールする。

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2012年2月5日のニュース