聖光学院 特別な思いで臨む震災から1年後のセンバツ

[ 2012年1月27日 15:20 ]

東北大会で安定感抜群の投球を見せた聖光学院の新エース・岡野

 今なお東日本大震災に伴う福島第1原発事故の影響を受ける中、昨秋の東北大会で準優勝した聖光学院(福島)に4年ぶり3度目の吉報が届いた。

 斎藤智也監督は「震災から1年後のセンバツに、個人的には特別な思いがある」と話した。福島県伊達郡桑折町にある同校グラウンドは、福島第1原発から約66キロ。震災から3カ月後の昨年7月上旬時点での放射線量は毎時0・8マイクロシーベルト前後で、基準値とされていた毎時3・8マイクロシーベルトをはるかに下回った。しかし、保護者からは放射線を心配する声が絶えなかった。

 昨年7月22日には、放射性物質を吸着する鉱物「ゼオライト」をグラウンドに散布。11月8日からはグラウンドの除染のため、表土入れ替え工事に着手した。新しい土に入れ替えたグラウンドの放射線量は、毎時0・1マイクロシーベルトまで下がった。

 除染が完了し新しい土を整備するまでの約2カ月間、グラウンドは使えなかった。その間は、同校からバスで約20分の距離にある福島市・信夫ケ丘球場で練習を積んだ。だが、ナイター設備がないため練習時間は制限された。例年ならノックやフリー打撃でへとへとになる期間に、十分な練習ができなかった。

 ドラフト2位で阪神に入団した右腕・歳内宏明が抜けたチームに突出した選手はいないが、戦力は整っている。新エース右腕の岡野祐一郎(2年)は東北大会の4試合全てで完投。36回を投げ自責点1(失点6)と堂々の内容だった。最速137キロの直球とスライダーで打たせて取る投球が持ち味の岡野は「力はないけど、気持ちを前面に出した投球をしたい」と意気込む。

 震災を乗り越えた聖光学院の、復興への道はまだ始まったばかりだ。

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2012年1月27日のニュース