青木落札はブルワーズ!出場停止ブラウン代役を期待

[ 2011年12月19日 06:00 ]

練習後に神宮のクラブハウスで報道陣に対応したヤクルトの青木

 ヤクルトが18日、ポスティング・システム(入札制度)による大リーグ移籍を目指す青木宣親外野手(29)の落札球団がブルワーズであることを発表した。今季ナ・リーグ中地区を制したブ軍だが、リーグMVPの左翼ライアン・ブラウン外野手(28)がドーピング検査による陽性反応で、来季開幕から50試合の出場停止が決まっている。その危機を乗り切るため、青木は救世主として期待されることになった。

 また一歩、夢に近づいた。この日の早朝、衣笠剛球団社長から電話で落札の詳細が伝えられた。早速練習のため神宮球場のクラブハウスを訪れた青木は「(夢が)具体的になってきてホッとしてる。(ブ軍は)地区優勝もしている強いチームという印象」と喜びを明かした。

 今季、29年ぶりに地区優勝を飾ったブ軍の外野陣はナ・リーグ屈指。ただ左翼で今季リーグMVPの主砲・ブラウンがドーピング検査で陽性反応を示した。大リーグ機構に潔白を主張しているが、50試合の出場停止処分が覆る可能性は低い。外野手の補強を目指していたブ軍が、青木を「MVP男の代役」として250万ドル(約1億9500万円)で落札した形だ。

 ブ軍との交渉は今後30日間。契約前であり、青木は条件面など多くは語らなかったが、一任している代理人はブラウンと同じネズ・バレロ氏だけに交渉はスムーズに進みそうだ。ブラウンについて「スーパースターと一緒にできるとなれば楽しみです」と話したが、求められるものは大きい。地元のミルウォーキー・センティネル紙は「ブラウン復帰までは左翼で起用されるだろう」と50試合が試金石としたが、その間本来の力を出せれば外野のレギュラーに残る可能性は高い。

 つい最近、今季ブ軍に所属していた斎藤隆と都内で食事したという。偶然にも「“どんなチームですか?”と聞いたら“住みやすい町でチームの雰囲気もいい”と言っていた」と事前情報も頭に入っていた。年内の渡米予定はなく、今後も都内で自主トレを続ける。「交渉は代理人に任せているので、自分は練習して準備していきたい」。かねて夢に描いてきたメジャーの舞台が、もう手が届くところまで近づいてきた。

 ▽ミルウォーキー・ブルワーズ 1969年にシアトル・パイロッツとして創設され、ア・リーグ西地区に参入。翌年、本拠地移転に伴い現球団名に改称。72年、ア・リーグ東地区に転入。81年に地区初優勝、82年にはリーグ初制覇した。以降は低迷を続け、94年、ア・リーグ中地区に転入、98年には球団拡張に伴いナ・リーグ中地区に転入した。斎藤隆(来季はダイヤモンドバックス)が所属した今季は、82年以来29年ぶりに地区優勝。今オフは主砲フィルダーのFA移籍が確実だが、カブスから強打の三塁手・ラミレスを獲得した。日本選手は斎藤の他に過去、野茂、野村、大家が所属した。本拠ミラー・パーク。ロン・レネキー監督。

 ▽ミルウォーキー ウィスコンシン州最大の都市で、人口は約60万人。五大湖の一つ、ミシガン湖の西岸に面し、シカゴの北150キロに位置する。夏は過ごしやすい気候だが、冬は長く気温が氷点下20度以下まで下がる。主な産業はビール製造で、ブルワーズの本拠「ミラー・パーク」も大手ビール製造会社の社名。またアメリカンバイクの代名詞、ハーレーダビッドソンの本社がある。NBAのバックスも本拠を置いている。

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2011年12月19日のニュース