松井売り込みへ、代理人テレム氏“商談会場”入り

[ 2011年12月5日 06:00 ]

松井(左)と代理人のアーン・テレム氏

 大リーグのオフの最大のイベント、ウインターミーティングが5日(日本時間6日)にダラスで開幕する。アスレチックスからFAとなった松井秀喜外野手(37)の代理人を務めるアーン・テレム氏は6日(同7日)にも現地入り。本拠地移転問題を抱えるア軍からの残留オファーが届かない中、各球団の首脳が一堂に会する「商談会場」に乗り込み、積極的に売り込みをかける構えだ。

 10月30日にFAになってから約1カ月。ついに敏腕代理人が動きだす。ウインターミーティングは5日から4日間の日程で開催されるが、関係者によると、テレム氏は6日にも現地入り。各球団の首脳を相手に積極的にロビー活動を行い、松井を売り込む考えという。

 松井は3年連続でオフにFAとなっているが、12月中旬には移籍先が決定した過去2年とは明らかに状況が違う。今季は打率・251、12本塁打、72打点で、故障した06、08年を除けばいずれも自己ワーストの成績。先月中旬のGM会議で、オリオールズのダン・デュケット編成責任者が「8人いるDH候補の1人」と興味を示したものの、現時点で具体的なオファーには至っていない。アスレチックスは松井との再契約を検討しているが、本拠地移転問題にメドがつくまでは来季の予算を組めず、残留交渉は一向に進展していない。

 そんな停滞している松井の市場を活性化させるために、テレム氏がウインターミーティング会場に乗り込む。これまでは松井らFA選手の交渉に専念できない事情もあった。多忙なテレム氏はMLBだけでなく、NBAにも選手会会長のフィッシャー(レイカーズ)ら多くの顧客を持つ。NBAは新労使協定をめぐって労使が対立し、7月1日にロックアウト(施設封鎖)に突入。テレム氏は選手会側のサポート役として調整に追われていた。しかし、先月26日に労使紛争が決着。ようやく松井らの契約に集中できる環境が整った。

 ロビー活動の対象となるのは、オリオールズ、レイズ、マリナーズなど、DHを探している球団。さらに今季は27試合に左翼で先発したことで「外野手」としてナ・リーグ球団にも売り込みをかける。アスレチックスのフィル・ガーナー相談役は「彼の膝の状態はとても良好。ナ・リーグに移籍しても、正左翼手として十分活躍できる」と語るなど、過去2年よりも移籍先の選択肢は広がっている。また、他球団に売り込むことで、ア軍から好条件を引き出す狙いもある。

 松井は「最後に決めるのは自分だけど基本は代理人に任せている」と話すように、テレム氏には全幅の信頼を置く。節目となるメジャー10年目。去就の決着はテレム氏の手腕に委ねられている。

 【松井の過去2年の移籍先決定】

 ☆09年(ヤンキース→エンゼルス) 12月15日にエンゼルスが1年600万ドル(当時約5億3400万円)で合意。ホワイトソックス、マリナーズなど6球団が興味を示す中、エ軍を選んだ。16日に正式発表。

 ☆10年(エンゼルス→アスレチックス) 12月14日にアスレチックスが1年425万ドル(当時約3億5700万円)で契約。同日にオークランド・コロシアムで入団会見を行った。ア軍は11月中から獲得に動いていた。

 ▽ウインターミーティング 毎年12月初旬から中旬に、トレードやFA交渉が円滑に行われるように、大リーグ30球団のGMや球団関係者、代理人、大リーグ機構関係者が一堂に会するオフシーズン最大のイベント。関係者が宿泊するホテルが「商談会場」となり、多くの契約がまとまる。最終日には他球団のマイナーに埋もれた人材を獲得できる「ルール5ドラフト」が行われる。今年は5日(日本時間6日)から8日(同9日)までの4日間、テキサス州ダラスで開催される。

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2011年12月5日のニュース