清武氏 渡辺会長の発言暴露「江川を監督にはしない」

[ 2011年11月26日 06:00 ]

清武前代表(中央)は吉峯啓晴弁護士(右奥)とともに会見に出席

 巨人から解任通告を受けた清武英利前球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM=61)が25日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で記者会見を行い、渡辺恒雄球団会長(85)のコンプライアンス違反と自身の解任を不当とする声明を発表した。

 会見では告発の発端となったコーチ人事をめぐる渡辺会長とのやりとりの詳細を暴露。また渡辺球団会長に対して自身への名誉毀損(きそん)などを視野に、12月中に訴訟に踏み切ることを明らかにした。

 テレビカメラ12台、約300人の報道陣の前で、内紛の第2幕が開けた。日本外国特派員協会での会見。清武前代表は「私は格好良く英語でスピーチしたいんですけど、九州のサムライの子孫なので日本語でぜひ通させてください」と切り出すと約1時間、これまで明らかになっていなかった新事実を暴露した。

 渡辺会長のコンプライアンス違反、自身の解任を不当とする反撃会見。6つの主張を5枚、今回の事案の概要として8枚、計13枚のA4サイズの資料が報道陣に配られた。主張の中では生々しいやりとりのオンパレード。騒動の口火となった11日の自身の告発会見直前、渡辺会長から「会見をやめろ」と電話を受けた際に「君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ」と恫喝(どうかつ)を受けたと明かした。

 また9日、江川卓氏をヘッドコーチとする通告を受けた際の渡辺会長の発言を事細かに説明。同会長が「巨人は弱いだけでなく、スターがいない。江川なら集客できる。彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る。彼をヘッドコーチにすれば、次は江川が監督だと江川もファンも期待するだろう。しかし、監督にはしないんだ」とまで話したとした。さらに、渡辺球団会長が江川招へいの交渉役に原監督を指名したと証言。「巨人の象徴的存在である監督を権限外の問題に巻き込むことは許されないこと」と非難したうえで「巨人のエースだった江川氏を集客の道具にしか見ておらず彼のユニホーム姿に期待するファンを愚弄(ぐろう)するものではないかと思わざるを得ない」とバッサリ切り捨てた。

 矛先は渡辺会長だけでなく桃井社長にも向けた。これらのコーチ人事をめぐる渡辺会長の「鶴の一声」に「もうやっていられない。俺、辞表出すよ」と真っ向から反対したのは当時オーナーだった桃井社長だったと発言。それを受け11日の会見に至ったと説明した。

 18日の解任から7日。解任の不当性を訴える渡辺会長への反撃で、清武前球団代表が明かした内幕。「自分の職を賭して、唯一の誇りはコーチたちを守ることができたのでそれで今は満足しています」と会見を結んだ。

 徹底抗戦の構えを示している渡辺会長側との騒動は、しばらく収まる気配はない。

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2011年11月26日のニュース