さえた秋山継投策  リリーフ組み替えて逃げ切り

[ 2011年11月16日 09:00 ]

 ソフトバンク・秋山監督の決断が連敗を止めた。中日の連勝で迎えた日本シリーズの第3戦。スポチニ本紙評論家の鈴木啓示氏(64)は守護神・馬原を休ませ、リリーフ陣を組み替えたことが逃げ切り勝利につながったと指摘した。2番手に金沢、3番手・森福をここぞの場面で左の森野に起用したのが好継投のポイントと分析。第4戦以降、ソフトバンクは馬原の使い方が逆転日本一のカギを握る。

 守護神・馬原をこの1戦だけ休ませるという決断を下した秋山監督にとって、思い描いた通りの継投だったろう。切り札を1枚欠いて組み立て直した継投プラン。初めての日本シリーズの指揮で見事な決断だった。

 左の森福を左の森野に“一人一殺”起用 好投してきた先発・摂津が迎えた7回2死一、二塁のピンチ。点差は2点あるとはいえ、終盤の大きなヤマ場だ。打席には左の大島で、秋山監督は森福の投入を我慢した。すでに継投プランを動かす気はなかったのだろう。摂津の続投。2ボール2ストライクからいい当たりをされたが、左飛に抑えてピンチを脱した。

 点差が3点に広がった8回は、頭から金沢へつないだ。味方エラーから犠飛で1点を失うが、シーズン中からの信頼がうかがえる起用。その金沢が1死から井端を3ボール1ストライクとしながら二飛に打ち取ったのも大きく、2死無走者で森野に回り、満を持しての森福の投入だ。全く隙を与えない投球で二飛に打ち取り、9回をファルケンボーグで締めるお膳立てを整えた。

 第1、2戦で敗戦投手となった馬原は1試合休ませ、気持ちをリセットさせる考えで、第4戦以降は再びリリーフに使うという。馬原の今の心境は「信頼がないのか?」という不安と「俺がストッパーだ」という意地が入り乱れて複雑だろう。しかし、責任感が仕事をさせるもの。第4戦以降、プレッシャーのかかる場面での起用にどう応えるか。このシリーズの鍵を握ることになると言ってもいい。

 目覚めた多村の価値ある一発 ソフトバンクにすれば、初回に先制した以降は嫌な感じがしていたはずだ。2、3回と先頭打者が出塁し、スコアリングポジションに進めながら追加点を奪えない。第1、2戦と同じような中日ペース。そんな中で迎えた4回、再び先頭の長谷川が一塁内野安打で出た。打席の多村は第1、2戦の8打席中6打席で走者を置いてわずか1安打。好機をことごとくつぶしていた。

 嫌なムードの中での打席。ここで多村は迷いを吹っ切った。来た球を打つシンプルな考え。マウンドの中日・ネルソンも状態は良くない。打者も投手も状態が悪いときには、いかに踏ん切りをつけるか。自分のスイングだけを心がけるか、ただ腕を振って投げるか。それができたのが多村だった。前の打席でボテボテの当たりが三塁内野安打となって、気持ちが楽になったこともある。迷いのないスイングだけを心がけた姿勢が打たせた2ランと言っていい。

 第1、2戦で奪えなかった待望の追加点。それを守り切った。これでソフトバンクは地に足を着けて戦える。ただ、12安打で10残塁。呪縛は完全には解けていない。中でも5打数無安打の内川は気持ちだけが前に行ってバットが出てこない。不安材料は残っている。

 痛恨2発につながった谷繁の打撃不振 先制されても投手が粘りロースコアに持ち込む。中日の勝ちパターンが3戦目にして崩れた。大きな要因の一つが谷繁だ。3試合で計11打数無安打。第2戦の8番から6番に上がって、打撃に神経を使った分だけリードにほんの少し狂いが生じた。4回の多村の2ランと8回の細川のソロ。眠れる多村の目を覚まさせ、シーズン1本塁打の細川に打たれた。出合い頭のような一発とはいえ、あれだけ完璧に打たれるのは球種が合っているからだ。打者心理を読んで巧みにかわしてきたがタイミングが合う球種を選択して投げさせてしまったのは配球ミスと言える。

 リードとともにこの試合も3盗塁を許した。投手のクイックがもうひとつでもあるのだが、3試合で7回走られ、5回セーフ。谷繁自身も手応えのある送球をしてもセーフになっている。ソフトバンクの足が中日バッテリーを上回っている証拠。第4戦以降、厳しいけん制やクイックの徹底を考えないと、勝負どころで致命的な失点につながる可能性もある。まだ2勝1敗とリード。有利な状況に変わりないだけに機動力対策がポイントになる。

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