事実上の単年契約 原監督 V逸なら解任

[ 2011年11月16日 06:00 ]

秋季キャンプ、椅子に座り練習を見つめる原監督

 江川卓氏(56)の入閣などコーチ人事をめぐる内紛が表面化している巨人の桃井恒和オーナー兼社長(64)が15日、秋季キャンプ地の宮崎を訪れ、原辰徳監督(53)ら首脳陣に事情説明をした上で謝罪した。

 さらに原監督と2年契約で合意、岡崎郁ヘッドコーチ(50)の留任を含め同キャンプに参加している1軍全コーチと来季の契約を結ぶことを明らかにした。オーナーの緊急のキャンプ地入りは極めて異例。また、原監督には2年契約を提示しながらも、3年連続V逸の場合は引責辞任を求める事実上の単年契約との見解を示した。

 午前11時25分にキャンプ地を訪れた桃井オーナーは、最初に原監督と球場内の一室で面談。一連の騒動を謝罪した後に、来季の契約について話し合いを持った。9月12日に来季の続投を要請しながら、その後、正式契約に至っていなかったためだ。席上、同オーナーは来季からの2年契約を提示。ただ、異例の条件を付け加えた。

 「もし来年V逸、3年連続V逸となったら、責任を取らなきゃいけないよということを一緒に伝えた」と同オーナー。来季にリーグ優勝を逃した場合は引責辞任も問うという異例の勧告。30分以上の会談で最終的に合意した原監督は「身の引き締まる思い。1年勝負?もちろん、それはもう。そういう中で戦っているわけですから、元来」と厳しい表情で話した。

 岡崎コーチの留任をめぐって、渡辺恒雄球団会長が既定路線だった留任を覆して江川卓氏の起用に動いたとして、清武代表が11日に会見を開いて同会長を批判。渡辺会長が翌12日に反論談話を発表するなど内紛が表面化。もっとも、今回の騒動はチームの不成績が招いた事態と言っても過言ではない。チームが3位に終わった上に、クライマックスシリーズ(CS)ファーストSで敗退したことで、コーチ人事も混迷を深めた。それだけに、指揮官としても事実上の単年契約を受け入れざるを得なかったのかもしれない。

 その後、同オーナーは岡崎ヘッドを筆頭に、1軍全コーチに来季の契約の意思を伝えた。現場の首脳陣へ契約更新の旨を伝えるのは清武英利球団代表の職務。しかし、現状で渡辺球団会長への謝罪を拒否している清武代表が動くことは難しく、桃井オーナーがチーム内の事態沈静化と「職務代行」を兼ねて、異例のキャンプ地入りとなった。

続きを表示

2011年11月16日のニュース